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「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか8」大森藤ノ(GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 8 (GA文庫)
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか8 (GA文庫)

──王国(ラキア)軍出兵。
軍神アレス率いる王国軍の突然の来襲。迷宮都市へ進撃する軍勢その数、三万。迫りくる軍靴の音に、オラリオは──何も変わらなかった。
「せっかくだし、たまにはベル君達には羽を伸ばしてもらうさ」
強過ぎる冒険者達の手によって市壁の外で侵略者達の悲鳴が上がる中、オラリオは平穏な日々を過ごしてゆく。小人族の求婚、愛しのボディガード、街娘の秘密、神々への恋歌──そして女神が紡ぐ愛の歌。神と子供達が送るささやかな日常編!
「ボクはずっと君の側にいるよ、ベル君」
これは、少年が歩み、女神が記す、
── 【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】──


日常編でラブコメ三昧な8巻。全六章みんなヒロインがバラバラな短編集に近い作りで、色々な人々・カップルの様子から「神と人との恋愛」が語られる。
ブコメ的には意外性の神と安定の人といったところ。
誠実そうなタケミカヅチがジゴロだったり、堅そうなヘファイストスが超絶ちょろインだったりと予想外の一面を見せて楽しませてくれる神たちと、ベルの朴念仁を面白おかしく料理する定番の展開になる人々で二度美味しい。
ただ、これまでも散々鈍いという扱いをされてきたベル君だけど、この巻を読んでちょっと違うかなと。
基本的に恋愛脳なヘスティアやリリと、冒険バカのベルやアイズでは「愛」や「憧れ」の考え方が根本的に違う。だから距離が近すぎて自分の価値観だけで相手を見てしまうヘスティアやリリはベルに怒り、その辺りの折り合いが上手かたり一歩引いた位置にいるエイナやシルはいい目が見れる。なーんてことを、六章のヘスティアとアイズの噛み合わない会話でふと思った。
まあ、そんなことよりアイズですよ(個人的には最重要)
都市外の事件に駆り出されていたので登場は諦めてたのに嬉しい誤算。ヘスなんとかさんとかいうアニメ専用機がいい仕事してくれた。服装を誉められて頬を染めるアイズ以上の萌えポイントは他になかった。
他で印象に残ったのはフィン。無自覚に本人の意図と反してハーレム化するラノベ主人公が多い中で、自ら進んでハーレム形成を是とするフィンさんカッコいい。やはり『勇者』は格が違った。オチは……まあ、いかに勇者でもアレには勝てんわw
今回で第二部終了で次から第三部突入なんだそうな。エピローグの最後のそれは、女形のキャラだからまたベル君が救ってしまうんだろうなあ。