いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「詐欺師キッドの英雄演武1」大泉貴(オーバーラップ文庫)

詐欺師キッドの英雄演武 1 (オーバーラップ文庫)
詐欺師キッドの英雄演武 1 (オーバーラップ文庫)

「――おたくの魔法、騙りに堕ちたぜ」
文明が発展し、神の不在が囁かれ始めた時代。伝説の英雄を騙って悪徳貴族から金銭をだまし取っていた詐欺師のキッドは、ある少女に協力を依頼される。
「お願いします、キッド様。あなたにも参戦して頂きたいのです。神ユグラティアの制定せし戦い、“神儀演武”に。」
伝説は真実を伝えており、キッドとその仲間は世界を統べる7つの種族の戦い、神儀演武に巻き込まれることとなる。これは、嘘から始まる綻びだらけの英雄譚。
詐欺師キッドの大いなるショータイム、いよいよスタート!


最弱種である人類の下剋上。勝利のカギはペテン。既視感あるなーと思いつつ読んでいたら、終盤やっと思い付いた。『ノーゲーム・ノーライフ』だ。最近新刊でないからすっかり忘れてた*1
もちろん世界観は違うしキャラも違うが、大まかなルールは『ノーゲーム・ノーライフ』だと思えば、既読の人は取っ付きやすいだろう。
但しこちらはガチバトルありなのでさらに条件が厳しい。
なので、話術やトリックで人間を騙している中盤までは静かだが、異種族が牙をむく終盤は一気に白熱する。
圧倒的な強者に対して死の恐怖がある中でも平然と立ち向かう強心臓と、二段構えで「そこからか!」という驚きをもたらしてくれる仕込み。これが詐欺師キッドの本領か。これは格好いい。そして面白い。
初回からいきなり死にそうな目にあっているのに、これでもまだスタートラインにたっただけとは。しかも今回は頭が人間でフィールドも自分達の世界だから勝てたのに、本格的に異種族と戦うことになったらどうするんだろう?
次はどんな手で騙してくれるのか、そもそもどうやって勝つのか、次巻が楽しみ。

*1:榎宮先生の健康状態は大丈夫なんだろうか。一応7月発売になっているけどMF文庫Jは見切り発車多いからなあ。記憶にあるラノベ作家の訃報がMF文庫Jばかりというのも余計に心配になる