いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ロクでなし魔術講師と禁忌教典5」羊太郎(富士見ファンタジア文庫)

ロクでなし魔術講師と禁忌教典 (5) (ファンタジア文庫)
ロクでなし魔術講師と禁忌教典 (5) (ファンタジア文庫)

「先生と私は、将来を誓い合った恋人同士だから」学修旅行後、アルザーノ魔術学院に招かれた特別講師レオス=クライトス。彼から婚約者として突然の求婚を受けたシスティーナは、グレンを言い訳に断ろうとするのだが…。「お前とくっつけば、俺、もう働かなくていいじゃんッ!」グレンは夢の無職引きこもり生活ゲットのため『逆玉』を本気で狙うロクでもない行動に出始め―。システィーナを賭けて、レオスと担当クラス同士の魔導兵団戦で決闘をすることに。決闘の裏に潜む最凶の『正義』、そして魔導士を辞めることになった過去の事件と向き合う時、グレンの下す決断とは…。


ついに来たシスティーナお当番回
1巻のパッケージヒロインでありながら、ヒロイン力では親友のルミアに完敗、3,4巻のヒロイン役もルミアの護衛もリィエルに取られ、存在意義が危ぶまれた白猫さんにやっと日の目が。よかったなあ(しみじみ)……まあ、私はルミア派ですけどね。
出生ゆえにどこか達観したところのあるルミアと精神年齢が幼いリィエルと比べると、戦いの中で相手を傷つけることを厭わないグレンを怖がったり敵への恐怖で動けなくなったりと、年相応の女の子の反応が読めるシスティーナは、ラノベとしては最も正しいヒロインだろう。正統派に可愛く感情の動きがわかりやすくて面白かった。途中、戦うこと・死への恐怖を失うことの怖さを勇気に代えて立ち向かう事を説いたグレンの台詞に痺れたが、それもシスティーナの感情の動きがあってこそ。
ただ、それで立ち向かった相手がとんでもない奴だった為に、この巻の印象がそっちに持っていかれてしまっているのが流石不遇ヒロイン。
マッドサイエンティストならぬマッドウィザードかマッドソーサラーというべき、元宮廷魔導師ジャスティス。全く理解できない独自の『正義』を振り回しグレンに執着する過去最強の敵。いくらなんでもマッドすぎるだろ(^^; この狂人にジャスティスと名付けるセンスに脱帽です。
天の智慧研究会だけでも手を焼いているのに、こんな第三勢力まで出てきちゃったら授業してる暇がますますなくなりそうね。