いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「樫乃木美大の奇妙な住人 長原あざみ、最初の事件」柳瀬みちる(角川文庫)

樫乃木美大の奇妙な住人 長原あざみ、最初の事件 (角川文庫)
樫乃木美大の奇妙な住人  長原あざみ、最初の事件 (角川文庫)

長原あざみは樫乃木美術大学の1年生。立体造形科の所属だけれど、引っ込み思案な性格のせいで、いつもひとりぼっち。ある日学校へ来ると、同級生の橘が作ったアクリル造形が変形していた。犯人の疑いをかけられたあざみを救ってくれたのは、人好きのする雰囲気を持つ青年、梶谷七唯。同じ学科の研究生という彼は、真実を調べようと言いだして……。第1回角川文庫キャラクター小説大賞《大賞》受賞。日常の謎系青春ミステリ決定版。

んー、、、好みじゃなかったのを差し引いても、あまりにも特徴がない。悪い意味で普通。
イマイチ楽しめなかったのは、ネガティブな主人公があまり好きではないという好みの問題が大きいと思うけど、他の脇役キャラが立っていたかと言われると「それなりに」としか言い様がないんだよなあ。“キャラクター”小説大賞でこれが大賞なのか……う〜ん。
しかも、日常ミステリとしては下の下。
全5話構成だが、どの話でも序盤のヒントが露骨すぎて犯人以前に話の先の展開が丸分かり。中でもどうかと思ったのが4話目。オタ系の知識があれば序盤の会話でバレバレだけど、分からない人には最後までポカーンでしょ、これ。こういう話も載せるならスニーカー文庫で出した方が良いかと。
と、肩書きとあらすじから期待した内容からは大きく期待外れだったけれど、引っ込み思案の女の子が良い出会いを重ねて勇気を出していく様を追う青春小説としてはなかなかで、会話メインの文章だから読みやすさは申し分ないので、初めから青春小説として読めば楽しめるんじゃないかな、たぶん。でもやっぱりキャラクターの性格が合わないとダメかも……自分としては他人にオススメはできない。