いつも月夜に本と酒

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「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン IX」宇野朴人(電撃文庫)

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (9) (電撃文庫)
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (9) (電撃文庫)

ようやく反乱分子の掃討を終え、国内を掌握したかに見えた女帝シャミーユ。しかしアルデラ教徒に不穏な動きがあることを知り、その真相を探るべく、信頼厚いマシューとサザルーフに、ある任務を命じるのだった。
一方、捕虜としてカトヴァーナ帝国北域辺境で開拓労働に従事させられているエルルファイ少将やグレーキらキオカ海軍兵士たちも、決起のときを静かに待っていた。
そして長い眠りから醒めたパトレンシーナは、ハロの顔を巧みに使いながら、いよいよ暗躍を始める……。
再びカトヴァーナ帝国に大きな騒乱が起きようとしていた。その中で、物言わぬイクタは果たして――!?


ただ本を読んでいるだけなのに胃にくる重さ。
神官を使って民衆を扇動しながら、軍部に対しては恐怖心を煽ったり人の良心を逆手に取ったりの地味で陰湿で効果的な作戦を数々と展開していく、キオカ共和国とラ・サイア・アルデラミン。
一方で、最強の敵将・ジャンの手によって、唯一壊れていないマシューを真綿で首を締めていくようにじりじりと追いつめていく北方の戦場。
そして、その合間に語られるハロの裏の顔・パトレンシーナの真実と狂気。いやマジで怖いって。ホラー作品じゃないんだから。
そんな浮き上がるところの無い、帝国の軍人たちだけでなく読者にも精神的ダメージを負わせようとしているのか勘繰りたくなるほど陰鬱で救いのない展開に凹みながら読み進めたら……
ついに待ちに待ったこの時が。復活だけでも嬉し涙ものなのに、父のエピソードに涙出ますよ。
そうか。全ては真打に最高の舞台を用意するための布石だったのか。次は味方のピンチに駆けつける復活したヒーローという王道中の王道を読めるわけだ。
この作品のことだから相当酷い状態での登場が予想されるけど、どんな逆転劇を見せてくれるのか今から楽しみでしょうがない。





現在の挿絵も大概だけどアニメのキャラデザも……うわぁ
何でこの作品はこんなのにも絵師に恵まれないの(´;ω;`)ブワッ
大好きな作品なだけに本当に悲しい。