いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「戦うパン屋と機械じかけの看板娘5」SOW(HJ文庫)

戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉5 (HJ文庫)
戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉5 (HJ文庫)

ついに正体を現した宿敵、ワイルティア親衛隊中将・ゲーニッツにスヴェンを奪われてしまったルート。王都ベルンではソフィアまでも捕らえられ、兵器開発局は親衛隊の手に落ちてしまう。かつてない窮地に追い込まれたルートは己の忌まわしき過去を乗り越えて、愛すべき看板娘と共に再びパン屋『トッカーブロート』を開くことが出来るのか!?

囚われ操られているヒロインを助けに行く主人公とその仲間たちという熱いシチュエーション。これまで出てきたキャラクターや事件が、今回の事件に集約していく胸熱な展開。どちらも文句なし!…………あれ? もっと盛り上がると思ったんだけどな。
“リセットコード”を愛の力で乗り越えてスヴェンが復活するシーン。もうちょっと濃い描写があっても良かったんじゃないですかね。あまりにあっさりで感動する間がなかった。
あと腑に落ちないのがゲーニッツの扱い。
良心なんて鼻で笑いそうなラスボス級の強大な悪として認識していたので、それ相応のバトルにそれ相応のラストがあるものだと思っていたら、主人公ルートと作者の中では割といい人という認識だったようで、最期もエピローグもゲーニッツの良心を表す話で違和感ばかりだった。悪は悪らしくあった方が栄えると思うのだが。それともこれが最終巻ではないからクライマックスをここに持ってきたくなかったのか。
結局一番盛り上がったのはレベッカが主と会えたところだったな。
展開としては申し分なかったのに、細部の描写があっさりだったり違和感ありだったりでちょっと困惑気味。