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「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか11」大森藤ノ(GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか11 (GA文庫)
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか11 (GA文庫)

少年(リトル・ルーキー)の名声は地に堕ちた──。
竜の少女を救った代償として人々からの信用を失ったベル。悪意と失意の狭間で少年は傷付き、苦悩する。だが、
「迷わないで。貴方の側には失われないものがちゃんと残っています」
出会いの絆に支えられ、決意を新たにした少年は仲間とともに立ち上がる。
再び戦場へと変わる迷宮街で決行される『異端児(ゼノス)』帰還作戦。その前に立ちはだかるは都市最強(ロキ・ファミリア)。賢者の知恵、勇者の策、神々の思惑、そして黒き獣が咆哮を上げる時、少年の心は回帰する。
「僕……強くなりたいです」
これは、少年が歩み、女神が記す、──【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】──


10巻のラストで迷宮都市の期待の新人冒険者から忌み嫌われる者となってしまったベル。
落ち込み悩むベルに、下手に動けないファミリアメンバー達。その間にも異端児たちはどんどん窮地に追い込まれ、と10巻のラストの空気そのままに重苦しい空気が流れて……あれ?
今回のベル君の行動を要約すると、紐神様とおててつないでデートして、シルさんに膝枕してもらって、何人もの女の人に助けてもらってアイズにヤキモチを妬かれ、可愛がっている幼女に抱きつかれ、最後はエイナさんと寄り添って手を取り合う。……よし、冒険者たちよ。ヤれ!
というのは冗談として(但し嘘は一つも入っておりません)、状況は厳しいながらもあんまりシリアスが続いて読者が息切れするのを嫌ったのかラブコメタッチの描写も多く、すんなり物語に入ることが出来た。自分としては身構えて読み始めたのでちょっと肩透かし気味だったのだけど。
それでも盛り上げるところはきっちり盛り上げてくれるのがこのシリーズ。
少々の無理程度では到底届かないレベルの敵が次から次へと出てくるボスラッシュの様な怒涛のバトルシーンは、戦場がダンジョンでも街の中でも変わらない。おまけにトリが因縁の相手ともなれば高揚感も一入。めちゃくちゃ熱かった。めちゃくちゃ面白かった。
彼とのライバル関係は続くのか。ライバルというにはちょっと、いや大分相手の方が強すぎないか?(^^;
あと印象深かったのはヘルメスの清々しいまでのクソ野郎っぷりかな。思い通りにならなくて笑い飛ばしてやりたいところだけど、彼の神意は超えても半分くらいはフレイヤの神意だった気がするから(もう半分は成り行き)、思いっきり「ざまぁ」とは言えないのが残念だ。
次から新章。やっとダンジョンに戻るそうですよ。