いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「今日が最後の人類だとしても」庵田定夏(ファミ通文庫)

今日が最後の人類だとしても (ファミ通文庫)
今日が最後の人類だとしても (ファミ通文庫)

目が覚めたらそこは異世界だった。人類はすでに滅び、多数の種族が共存する世界に取り残されたユージ。働かざるもの食うべからず――そんな実力主義の世界で生きるために、彼が選んだ職業は、亜人種の少女の教師役!? 聖霊族のサーシャ、雪人族のエミィ、妖狐族のリン、彼の元に集められたのは無邪気で可愛い三人組。しかし彼女たちは、潜在能力を持ちながらも世界のルールに適合しない問題児で……!? 種族の垣根を飛び越える異文化交流ファンタジー

これ本当に庵田先生の作品? 
今までの不思議付き現代劇から純ファンタジーになったので分かりやすく少年少女の青春群像ではなくなったのはそうなのだが、それにしても青春感がまるでない。
問題は九割方主人公だろう。主人公・ユージが全編を通して考えることを止めてしまっている様に思えて仕方なかった。
庵田作品といえば何らかの障害や不満に対してがむしゃらにもがくのと、青臭い台詞を恥ずかしげもなく使ってくるのが特長だが、ユージは喚いているだけで行動せず、青臭い台詞は吐いても行動してないから説得力がない。根拠のない根性論だけ説いて、問題が解決したのはただラッキーだっただけという状態で、これでは感動も何もない。普通の人間が異世界に放り出されたら頭が真っ白になって何もできないっていうリアリティはあったかな。
何も持たない人間が自分の知恵と努力だけで道を切り開こうとするなろう作品クソ食らえと言わんばかりの物語のコンセプトはとても好みだったのだけど、このタイプの作品は自ら動くタイプの主人公でないとね。
3人の生徒たちには個性も魅力もあったけど、主人公がどう頑張っても好きになれそうにないので、本シリーズは
縁がなかったということで。