いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「お世話になっております。陰陽課です3」峰守ひろかず (メディアワークス文庫)

お世話になっております。陰陽課です3 (メディアワークス文庫)
お世話になっております。陰陽課です3 (メディアワークス文庫)

秋の足音が聞こえる京都。市民に紛れて暮らす妖怪「異人さん」の働く病院を訪れた、陰陽課に勤める祈理と春明。そこで二人は、車椅子の老女、高邑八重とすれ違う。どうやら春明は若いころに八重と知り合いだったようだが、過去を詮索されたくない様子。
しかし、八重と出会った後、春明の態度に変化が現れる。平安時代から千年の時を生きてきた式神の春明。これまでの多くの出会いと別れに想いを寄せ、祈理は主として、そして陰陽課の同僚として力になりたいと思うのだが……。

京都の堅物新人女性公務員が異人さんこと妖怪相手に奮闘するシリーズ第3弾、秋編。
随分とコイバナの多い回だなと思って、過去2冊をぺらぺらめくってみたら2巻からこんな感じだった。あっちのシリーズの煮え切らない二人の分をこっちで補ってる? そんなわけで、基本まったりで甘味多めのご近所妖怪物語シリーズに落ち着いたようだ。作者のデビュー作が思い出されて個人的には大歓迎。
それと毎度のことながら伏線の張り方というか、短編連作形式の一冊の構成が上手い。
そこまでに起こった事件の結果だけでなく、一話目の偶然の出会いや二話目の雑談などの細かいところまで綺麗に回収しながら話が収束していくのが読んでいて気持ちいい。
今回のハイライトは間違いなく春明の過去の話なんだろうけど、好きなのは二話目の竜神様のパーティ。わがままロリババア姫さまを筆頭に、多くの妖怪が出て来てそれだけでワクワクする。陰摩羅鬼さん、また出て来てくれないかな。おどおどしてるけど懐いたら可愛い眼鏡女子の絵しか浮かばない。それとこの話は初めて祈里が一人で事件解決する話で、嬉しい気分になるのもいい。
次回は冬か。今回は京都の秋を感じられるシーンが少なかったので(半分近く過去だったし)、次は妖怪たちの話の楽しさはもちろん、季節も感じられるといいな。