いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「僕が恋したカフカな彼女」森晶麿(富士見L文庫)

僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)
僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)

深海楓は架能風香に恋文を渡し、それは見事に振られた。
「あなたの手紙には誤字が四十二、脱字が十四、文法的誤りが三十六、語の選択の誤りが七十八もあるわ」
彼女は大変な読書家だった。食い下がる楓に、風香は一言。
「なら――カフカにおなりなさい」
彼女の敬愛するフランツ・カフカを目指し小説を書き始めた楓のもとに、級友から持ち込まれる不可解な謎。「彼女が突然消えてしまった」「姉が芋虫になった」そんな馬鹿な。しかし風香は冷静に鋭い観察眼でヒントをくれる。ヒントは常に、カフカにあり――?

中学までプレイボーイだった主人公・楓が高校で出会った少女・風香、教室ではいつもヘルメットを被りフランツ・カフカを読んでいる変人な彼女を口説き落とそうとする物語。



この子たち、本当に高校生?
昼ドラか?と思うくらい、大人顔負けの愛憎劇が繰り広げられていたので主人公たちが高校生(しかも主に1年生)なことにもの凄い違和感が(^^; 
でも、話としてはとても面白かった。主に主人公の楓とヒロインの風香の会話が。
カフカの作品の考察をしながら、楓の身に降りかかったカフカ作品にどこか似た事件=風香の言うところのカフカ的事件の真相を解き明かしていく過程が良い。小難しい話を心底楽しんでいる風の二人のテンションにニヤニヤしつつ、事件の推理の段階では思考の変化や閃きの瞬間が丁寧に描かれているので、一緒に事件を説いているような気分になれる。
あとはヒロイン・風香の個性。独特な口癖に飄々とした性格、カフカのことになると二段階テンションが上がる変人っぷりを発揮しながら、意外とヤキモチ妬きだったり食べ物に弱かったりと可愛い面も見せてくれる。それに作中の高校生たちの中で唯一高校生らしい。
でもホント、なんで高校生だったんだろう(どこまで行っても納得いってない)
元々大人で考えていた話を発注に合わせて高校生にしてリメイクした? どう考えても主人公を青年にして、プレイボーイが初恋や真実の愛に目覚める形の方が収まりがいいと思うんだが。
いやまあ会話劇、ミステリとして面白かったからいいけどさ。