いつも月夜に本と酒

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「魔弾の王と戦姫16」川口士(MF文庫J)

魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>16 (MF文庫J)
魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>16 (MF文庫J)

ルスラン王子の復活と、国王ヴィクトールの死によって不穏な空気に覆われているジスタート。王子の側近として隠然たる権力を持ち始めたヴァレンティナは自らの野望を果たすため、ついに動きだし、その大鎌をソフィーへと向けた。他方でフィグネリアの双刃がリーザを追い詰めるなど、戦姫同士の対立は決定的なものになる。混沌たる情勢の中で、ティグルは自らの立場を鮮明にし、大切なものたちを守るべく、激しい争いの渦中に身を投じる。争乱の陰では、魔物たちに代わって地上にあの女神を降臨させようとするガヌロンの姿があった……。未曾有の危機のなか、英雄となった若者を待ち受ける運命とは。大ヒットの最強美少女ファンタジー戦記の最高峰、第16弾!

物語は佳境。戦姫vs戦姫×2を皮切りに戦いに次ぐ戦い……にはならなかった。
どちらの戦いも途中で横槍が入り痛み分けになった後は、表面上は戦いのない静かな展開に。それでいてティグルと戦姫の個人的な絡みが多いわけでもないので、本気で準備に徹した回だった。おかげで何も書くことがない
ヴァレンティナの計略を軸に、周辺各国の情勢やガヌロンの出方、ティグルと5戦姫の対応など、ジスタートが内乱へ突入する経過をそれぞれの思惑を交えて丁寧に描写されていき、戦姫たちは自国へ、ティグルはある者との決着へとがそれぞれの戦場に赴いたところで最終巻へ続く。
そう、このシリーズ次で最終巻なんだよなあ。
丁寧で情勢が分かりやすいのはとてもいいことなのだけど、本当に次で完結? こんなに戦場があちこちで、さらには魔物の問題があって戦姫たちとの恋の行方もあって、ティグルは自国の王位継承問題もあって、これで本当に次で収集がつくのだろうか。もう3巻くらい伸ばしてくれてもいいんだけど。
MFには長期シリーズなのに最後が駆け足のやっつけで残念だった触手さんの例もあるから、期待よりも不安の方がかなり大きい。流石にガヌロンが呼ぶそれで全てを踏みつぶす力技エンドってことは無いよね?