目覚めた少年は、何者でもなかった。“再葬開始”の合図と共に、いつの間にか持っていた火の粉を纏う刃を振るい、異形の敵を倒すのみ。
“境死者No.7”――赤鉄。それが、彼に新たに与えられた名だった。
なぜ自分は戦うのか――。No.6である美しき少女・紫遠と共に、訳のわからぬまま死闘に身を投じる赤鉄は、やがてある事実にたどり着く。No.7の称号を持つ“先代”がいたこと、そして自分がその人物に殺され、No.7を“継承”したことを……。
第18回電撃小説大賞《大賞》受賞作『エスケヱプ・スピヰド』のコンビで贈る、現代ダークファンタジー開幕!
ちょっと合わなかった。
いや、別に悪くはないだのけど、ホラーな世界観だったので、読み物のホラーは楽しみ方が分からないと常々言っている自分とは相性が良くなかった。これといったオリジナリティも感じられなかったし。今のご時世、設定や世界観で独自性を出すのは大変なことだけども。
それでも作者らしさは随所に出ていた。
割としっかりと説明の文章が入るのにスピード感と熱量は失われないバトルシーンの読み応えは本当に素晴らしい。この迫力溢れるバトルシーンのセンスは当代随一ではなかろうか。
『エスケヱプ・スピヰド』を読む限り、各キャラの掘り下げが終わってからの、それを前提にした人間ドラマが本番なスロースターターな作家さんなので、盛り上がるのはもう少し先だろう。なので評判や売り上げに関わらず続刊を出してほしいが……。最近はそんな余裕のあること言ってられないんだろうなあ。
帰ってきた絵師・吟さんの力量に感服。
猫グッズいっぱいのファンシーな絵の次が筋肉隆々で血みどろのバケツ男ってギャップありすぎ。