カロリーは引いてください! ~学食ガールと満腹男子~ (富士見L文庫)
朝生くんは大学の人気者。学業優秀、スポーツ万能。悩み事にも優しく応える。まさに完璧―ただ一つ、その体重を除いて。
「朝食できたよ、朝生くん」
「足りません(キリッ)」
同大学の学食で働く楓は、朝生くんの母に頼まれ、彼が太らないご飯を毎食作っている。朝生くんはカロリー控えめでも美味しく工夫した料理を喜んでくれるけれど、ごちそうを報酬に、度々お悩み解決を引き受けてしまうので……。
オーダーは彼のダイエット!? まかない女子とハイスペックふっくら男子の献立奮闘記!
学食務めなのに高級マンションに只で住める上に世話する彼は一部を除いて超ハイスペック。料理上手のお姉さんが毎日料理を作りに来てくれる男子大学生。どちらの視点から見てもうらやまけしからんシチュエーションの二人が送る、大学内日常ミステリ風作品。
主人公・楓は次から次に出てくるカロリー控えめ料理のレパートリーもさることながら、本人も気持ちのいい性格の持ち主で、彼女目線で進むストーリーは嫌味がなく読みやすい。
お相手の朝生くんは機敏なインテリデブという自称に違わずパワフルでコミカル。振る舞いはイケメン、事件解決の手際は見事、だけど必ずデブというオチを付けていく憎めない奴。
二人のキャラクター、料理、学内のちょっとした事件、どれも面白かった。……そう、それぞれ個別に。
折角良いパーツが揃っているのに、それぞれ独立してしまっていてお互いの関係性が希薄なのが少し気になった。
やっていることは通い妻なのに楓嬢には色恋の気は欠片も無く（朝生くん側には多少あるが）、楓の料理と朝生くんの事件解決の間に繋がりはほぼ無い。おまけで朝生くんが料理を食べる前まではがっついてくるのに、食べる描写は薄いので、楓の料理が美味しそうに感じるところは少ないのも勿体ない。
まあ楓目線で朝生くんを眺めているだけで面白いので、別に問題はないのだが。続きがあるなら二人の共同作業（特に深い意味はない）が読みたい。
