いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア9」大森藤ノ(GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア9 (GA文庫)
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア9 (GA文庫)

王国軍出兵。ベートの活躍によりアマゾネス狩りの事件を収束させたのも束の間、都市外からの侵略者の迎撃に乗り出す【ロキ・ファミリア】。強過ぎる冒険者達によって万の軍勢が蹴散らされていく中、ひょんなことから発せられた少女の問いが、リヴェリアの記憶の扉を叩く。
「昔のアイズさんの話、聞かせて頂けないでしょうか?」
それは、当時『人形姫』と謳われていた少女の秘話。追憶の欠片はハイエルフの想いを過去に飛ばし、一方で竜信仰の村に辿り着いた少女もまた在りし日の情景を追想する――。
これは、もう一つの眷族の物語、──【剣姫の神聖譚】──

外伝9巻は本編8巻のロキ・ファミリア視点、アイズ視点。
ここ数巻ロキ・ファミリアメンバーの過去が語られてきた外伝で、ついに外伝主人公・アイズの過去が語られる。と言っても、出生や幼少期の謎は本編のストーリーに大きく関わるためかちらちらと出てくるだけで、アイズがロキ・ファミニアに入ってからの話がメイン。
やっときたアイズのターン!と思ったのだけど、今の物静かなアイズからは想像できない狂犬ぶりに驚きはするものの、これはどちらかというと……
「新人ママ・リヴェリアの子育て奮闘記」かなw
ロキにママだと弄られていたのはもちろん、団長のフィンは協力的ではあるものの忙しくてなかなか子育てに参加できず、代わりに好々爺然としたガレスが悪戦苦闘するリヴェリアの手助けをするという妙にリアルな家族像があったので、こんなタイトルが思い浮かんだ。
言う事を聞かないアイズに対して、届かない想いへの苛立ち、誰かを導くことの難しさ、人としての自分の未熟さ、色々なものを痛感して変わっていくリヴェリア。このシリーズのメインテーマである「成長」が今回最も感じられたのは間違いなくリヴェリアだった。
アイズに関しては過去の話よりも本編8巻最後のエピソードのアイズ視点が読めたのが良かった。あの冷たく言い放たれた一言には、こんな意味と想いがあったんだ。
それにしても酒乱だったとは。暴走剣姫、、、ベル君よく生きてたな(^^;