いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「放課後、君はさくらのなかで」竹岡葉月(集英社オレンジ文庫)

放課後、君はさくらのなかで (集英社オレンジ文庫)
放課後、君はさくらのなかで (集英社オレンジ文庫)

通勤途中で事故に遭った市ノ瀬桜。目覚めると、魂だけが女子高生の体に乗り移っていた。そのまま女子高生・円城咲良として生活する羽目になった桜は、担任の鹿山守に事情を打ち明け、咲良の魂を探すことに。実は鹿山は、桜の高校時代の同級生だった。クラスで孤立していたらしい咲良の内面を探るうちに、鹿山と過ごした高校三年の夏の記憶が蘇り…。青春ミステリー!

クラスで孤立、高校時代の夏の記憶、なにより人の死を扱った物語だという事。そんなあらすじから感じられる飛びきり切なくて涙を誘う、少し不思議付きの物語になる予感を……
パワフルな主人公・桜さんがものの見事に吹き飛ばしていきました。
女子高生・円城咲良の身体に入ったOL(27歳)市之瀬桜が、男勝りで直情的な分かりやすい性格で、しんみりした空気になんて成りようがなかった。自分の死には無頓着だし、身体の持ち主が苛められていると分かったら独力で解決しちゃうし。元同級生の担任教師へのいじり方なんかは男友達のそれに近い。
イメージしていたものとの大きなギャップに驚きと戸惑いが半々くらいのスタートから、次第に桜の行動力に感化されて、気付けば次はどんなことやって(やらかして)くれるんだろうとワクワクしている自分がいた。そんな愛されキャラの桜だったからこそ、後半の恋愛モードを甘酸っぱく楽しめて、最後のちょっとしたサプライズを含めて読後感は最高。この設定でも、キャラクターのパワーでラブコメになるのかと変な関心もしてしまった。
予想外も予想外、パワフルでスカッと出来る自分にどストライクなラブコメだった。あー面白かった。