いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「うさみみ少女はオレの嫁!?」間宮夏生(電撃文庫)

うさみみ少女はオレの嫁!? (電撃文庫)
うさみみ少女はオレの嫁!? (電撃文庫)

YOUは何しに月面へ? ――UFOにひかれたら、そこは月の上でした。
どうやらオレを(はねとばして)さらったのは「月の民」第一王女の輝夜という宇宙人らしい。その破天荒なお姫様は、なんと「うさみみ姿の美少女」だった。
地球ラブな輝夜は、可愛いけどどこかズレてて……政略結婚から逃れるためニセ夫婦になって月で同棲しろと言う。しかもウソだとバレたら死刑らしい……。何コレ強制力すごいんですけど。異文化交流の域こえてるんですけどー!?平安京みたいな「月の都」を舞台に女王(冷徹)や輝夜の婿候補(超人)とドタバタしちゃうんだって……オレどうなるの!?

ヒロイン(ウサミミ・嫁)がボケ倒し、主人公(ぼんくら・旦那)がひたすらツッコミを入れていく、掛け合いがメインの夫婦漫才ラブコメディ。
うわー、懐かしい。
常にハイテンションで勢い重視の掛け合いに、使われるネタの古さ(90〜00年代のものは中心。古いものは昭和まで遡る。てか時代劇好きね)。基本はギャグでも政略結婚回避と親子の絆を軸に、人の心を大事にしていく綺麗なストーリーライン。そして何と言っても、ピンチの女の子の為に頑張る男の子という王道スタイル。
ライトノベルとはかくあるべし!と言わんばかりの古典的なハイテンションドタバタラブコメで、とても懐かしい気分に浸れた。
惜しむべくはメインもサブもキャラクターが弱かったことか。
ヒロインのわがまま姫・輝夜は実は寂しがり屋、主人公の非モテ高校生・麟太はヘタレだが「家族」を大事にする優しい男……と、全くと言っていいほど意外性がない。
サブキャラに至っては存在感のある奴がいない。敵役のハイスペックイケメンですら、その片鱗を見せることなくただ負けて去っていったし。あえて挙げるなら美的センスのズレた姫の護衛・三日月さんだけど、この人もオークにやられる女騎士のテンプレ然としたキャラなのよね。
古き良き時代のライトノベルを楽しめようで嬉しい気持ちもあるものの、味気なさも感じる一冊だった。意外性が全くないので何だかラノベブコメの教科書みたい。