いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「応えろ生きてる星」竹宮ゆゆこ(文春文庫)

応えろ生きてる星 (文春文庫)
応えろ生きてる星 (文春文庫)

結婚直前の会社員・廉次の前に現れた女は、突然のキスと、謎の言葉を残して消える。直後に、婚約者に目の前で別の男と駆け落ちをされた廉次は謎の女と再会。婚約者の行方をある手段で探し出そうとする。奪われて、失った、その先にあるものは――。過去と向き合い、抱え続けた痛みからの再生を描く書き下ろし長篇小説。

可哀想な二人はハッピーエンドで、原因を作った二人には全力で「ざまあ!」と言ってやれるラストなので、読後感に爽快感はあるが……。終わり良ければ全て良しという気分にはなれないなあ。冒頭で浮かんだ「溺れる者は藁をも掴む」が頭からずっと離れないまま終わったから。
ゆゆこ先生はもうこういうタイプの作品しか書いてくれないのだろうか?
どん底に突き落とされた人が、這い上がろうと必死にもがいている姿を描く作品。傍から見ると溺れるようにしか見えないような。
主人公たちは皆力強く「生きる」ということを強く印象付ける胸を打つ話ばかりなのだけど、どれも読んでいて息苦しい。特長である軽快な文章が、逆に無理してる感を強調するから尚更。特に本作は、中盤バカやってるのが痛々しくて、もうね……。
現在の作風は、読書時間は息抜きであり小説にはエンタメであって欲しい自分の読書形態には合っていないので、次作からは様子見になると思う。