いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「忘却のカナタ 探偵は忘れた頃にやってくる」新井輝(富士見ファンタジア文庫)

忘却のカナタ 探偵は忘れた頃にやってくる (ファンタジア文庫)
忘却のカナタ 探偵は忘れた頃にやってくる (ファンタジア文庫)

「気付けば彼のことを私はヒーローだと感じていた」
忘却社。12階建てのビルの13階にあると噂の探偵事務所には、本当に助けを求めている依頼者だけがたどり着けるという。
ヒーローに憧れる女子高生・三倉咲夜は、クラスメイトのストーカー被害を調査するため、誘われるようにここへ迷い込んだ。そこで出会ったのは、社長代行を名乗る青年・岬翼。彼は他人の自己意識の世界《固有世界》に侵入し、問題を解決する“忘却探偵”だった――。
忘れがたい者たちが集う新宿歌舞伎町を舞台に、現実と記憶を駆け巡るニューヒーローの物語が今始まる。

結局やるんかい!
十二階のビルの十三階という作者のファンなら思わずニヤリとしてしまう立地条件ではあるものの、主人公は正義感が強くて、先代の教えと自分の理想はきっちり守るタイプみたいだったから、「ですよね」って言って流されることはないだろう思っていたのに。
やっぱり新井輝主人公は新井輝主人公だったというエピローグはとりあえず置いておいて、
異能ありの探偵もの。裏社会などが出てくるハードボイルドな世界観で荒事多めながら、キャラクターにはハードさがないので軽く読める。ハードさはなくても個性は十二分で、誰もがどこかに欠落を抱えているところが作者の作品らしい。
あと特徴としては、時系列がバラバラで伏線たっぷり。
第一話でメンバー紹介と作品紹介をざっくりとして、第二話から主人公とヒロインの出会う事件がスタートするのだが、ざっくりし過ぎていて少々置いてけぼり感が。とりあえず、誰も彼も過去に何かありそうなことと、咲夜ちゃんがよく襲われる子というのは分かった。これもある意味ヒロインの正しい姿(たぶん)
で、エピローグは……呼び方が違うところから色々察しろってことなんだろう。
大変思わせぶりな1巻だったので、続きが気になる。まずはあの愉快で奇怪な仲間たちがどうやって集まってくるのかが楽しみ。