いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「銀色の月は夜を歌う」望月唯一(講談社ラノベ文庫)

銀色の月は夜を歌う (講談社ラノベ文庫)
銀色の月は夜を歌う (講談社ラノベ文庫)

音楽性の違いによるメンバー脱退のため、あっさりと廃部になってしまった軽音部。その最後のメンバーだった朝比奈悠は、駅前でストリートライブをしていたところ、かぐやと名乗る少女に突然ライブのサポートを頼まれる。そのステージ上で圧倒的なパフォーマンスを見せたかぐやに惚れ込んだ悠は、翌日ふたたび出会った彼女にバンドの結成を申し出るが、断られてしまう。失意の悠にかぐやが明かした真実は――彼女の正体は、生徒会副会長の真面目な少女、宮古真尋の別人格ということだった。かぐやのことを諦めきれない悠は、彼女の心の壁をなんとか越えようとするが……!? 月のような少女とまっすぐな少年が紡ぐ、爽やかな青春バンドストーリー!

軽音部廃部で傷心の主人公はストリートライブで才能溢れる少女を見つける……から始める音楽青春小説。


青春感は十分あって、悪くはない話だとは思うんだけどね……(以下、歯切れの悪い感想が続きます)
この作品について話すとすれば、初めに来るのが「これはハッピーエンドか否か」で、次に「ヒロインが二重人格だったのは効果的だったか否か」だと思うのだけど、その前段階で躓いたというかなんというか。
他に思い付かなかったので失礼を承知でそのまま書くが、社会人になったら「あの人空気読めないよね」と同僚OLに陰口を言われそうなタイプの音楽少年が、衝動のままに突っ走ってる姿に、激しい居た堪れなさに苛まれる作品。というのが率直な感想。それと、他作品と比べてもしょうがないが、少し前に地に足が付いているというより苦しんで地べたを這いつくばっているような音楽青春小説を読んでいたので、本作の足元が覚束なくてふわっふわなストーリーに、読むほどに変な不安感が増していったのもある。
常々青春小説は、演出過剰上等、クサさ恥ずかしさはステータスだ!くらいの極端さで書かれていた方が面白いと思っているのだが、行き過ぎると引いて冷静になってしまうものなんだな、と。その人の感覚によってこれくらいドンと来いと言う人と、これより薄味でも引いてしまう人もいるんだろうな。
まあ要するに、合わなかったのです、はい。
ちなみにエンドに関しては、当事者の副会長に答えが示されていないので、これはハッピーエンドではない。主人公の自己満足。というのが個人的な見解。