いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



銀盤カレイドスコープ vol.8 コズミック・プログラム:Big time again! (銀盤カレイドスコープ) (スーパーダッシュ文庫)&銀盤カレイドスコープ vol.9 シンデレラ・プログラム:Say it ain't so (銀盤カレイドスコープ) (スーパーダッシュ文庫)

銀盤カレイドスコープ Vol.8海原零スーパーダッシュ文庫
オンライン書店ビーケーワン:銀盤カレイドスコープ Vol.8

女帝リアの男子シングル転向の決断、そしてガブリーとのあの電話。募った思いは、リアへ勝利宣言となって噴出した。退路を断った私にマイヤもどうやら本気モード、今以上の練習をさせる気らしいけど、上等じゃないの。これが桜野タズサの選んだ道、選んだやり方なんだから。ところが、ユリスクの町に戻った私を待ち受けていたものは思わぬ報せで……。


リアたん怖い((((;゜д゜)))ガクガクブルブル


戦慄のシリーズ最終章前編。
怒った時の女帝リアの重圧、また地球上で唯一リアの素顔を知っているタズサだからこそ受ける恐怖が、徐々に追い詰められていくタズサを介してひしひしと伝わってくる。
演技の内容は控えめでタズサの心情がメイン。タズサ感じたこと、考えていること、そして動揺がこれでもかと丁寧に描かれているのでタズサの心情が手に取るように分かってしまい、どうしたってタズサに感情移入してしまう。物語に引き込まれる。
そして引き込まれたまま最終巻へ・・・こんなの途中で止められる訳ないって



銀盤カレイドスコープ Vol.9海原零スーパーダッシュ文庫
オンライン書店ビーケーワン:銀盤カレイドスコープ Vol.9

思えばいろんなことがあったわよね。5年連続ミス・ユニバース獲得、永世美少女の称号も手に入れたし、生身の人間としては初の世界遺産登録。あ、そんな過去の栄光はひとまず置いといて。さあ、いよいよ五輪本番! リアを打倒し背負った全てに答えを出すため、私は4年に1度の大舞台に挑む。その結果は? 私を待ち受けるものは? 間髪いれず最終巻発動。

ちょっwww何このあらすじwww


壮絶と言う他ないシリーズ完結編。
8巻の流れから五輪では勝てないことは分かったけど、まさかこんなどん底まで叩き落とすとは!


リアの演技とガブリーの演技、主役の演技を完全に喰っていた二つの演技がとにかく凄かった。氷の冷たさとナイフの鋭さを持つリアの演技がタズサを打ちのめし、情熱溢れるガブリーの演技がどん底状態にいたタズサをも突き動かす。特にガブリーの演技は壮絶の一言。この二つの演技だけでも読んだ価値があったと思えてしまう。
その上この相反する二つの演技を軸に描かれるタズサの心情も8巻から引きつづき丁寧で、時間を忘れのめり込むように最後まで読みきってしまった。


2冊合わせて700ページ弱の大ボリュームを感じさせないあっという間で充実した読書時間だった。
まず五輪で終わりじゃないことに驚かされ、タズサの打ちのめされ方に衝撃を受け、なかなか復活してくれないタズサにハラハラさせられ・・・最後は勝つんだろうとは思っていたものの、予想外の展開の連続にハラハラドキドキさせられっぱなし。この物語に引き込ませる力は見事。
ただ一つ心残りなのはせっかく五輪がカナダだったんだからもうちょっとピートに触れて欲しかったかな。(それだと五輪エンドになっちゃうけど)
それでも、桜野タズサの物語の最終章に相応しい内容で最後の最後までいろいろなタズサの堪能できて、いやもう満足満足。