いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



クドリャフカの順番―「十文字」事件

クドリャフカの順番米澤穂信(角川文庫)
オンライン書店ビーケーワン:クドリャフカの順番

待望の文化祭が始まった。何事も積極的に関わらず〈省エネ〉をモットーとする折木奉太郎は呑気に参加する予定だったが、彼が所属する古典部では大問題が発生。手違いで文集を作りすぎたのだ。部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。十文字を名乗る犯人が盗んだものは、碁石、タロットカード、水鉄砲――。この事件を解決して古典部知名度を上げよう! 目指すは文集の完売だ!! 千載一遇のチャンスに盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は「十文字」事件の謎に挑むはめに!

古典部シリーズ第3弾。「愚者のエンドロール」の本格ミステリ風味から一転して文化祭メインの青春小説風味。今までの奉太郎の一人称のみの構成ではなく、古典部4人それぞれの視点で文化祭を追っていく。


ミステリがどうとかいう前に文化祭の内容がとにかく面白い。特に料理バトルはやりすぎ!深夜3時に声を出して笑ってしまった。こんな面白い文化祭なら是非とも参加したい。
ミステリとしてはこの作者には珍しく犯人を見つける話。かなり意外なところが伏線になっていて、伏線の張り方が上手さに脱帽。
でもこの話は何と言っても古典部のメンバーそれぞれの文化祭。古典部それぞれの視点から書かれているので、今まで奉太郎視線でしか見れなかった他の三人の考え方や奉太郎に対して思っている事などが分かりキャラの魅力が倍増。特に里志の“期待”という言葉に対する考え方は印象深かった。この各キャラ視点のおかげでこの話自体も面白かったけど、次から奉太郎視点に戻ったとしても他の三人が何を考えているか想像しやすくなったのでさらに面白くなりそう。