いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



声で魅せてよベイビー (ファミ通文庫)

声で魅せてよベイビー」木本雅彦(ファミ通文庫
オンライン書店ビーケーワン:声で魅せてよベイビー

“孤高のハッカー”を名乗る高校生・広野は、尊敬する “おっちゃん”のOSマニュアルを入手するため、同人誌即売会に乗り込んだ。場内の熱気に圧倒されつつも何とか目的を果たした広野。だが、彼の前に自称“腐女子 ”の声優志望少女・沙奈歌が現われ、しかも成り行きで 彼女の恋の“エチュード”の相手をすることに! はたしてふたりは“本番アリ”な関係になれるのか!?
恋と声に身悶えする、第8回えんため大賞佳作受賞の三次元激♥ミュージカル、ついに開演!!

ハッカーの少年と声優志望の腐女子の初恋のお話。今回のえんため大賞のテーマは初恋なの?
優秀賞の「108年目の初恋。」が綺麗にまとまっていたのに対して、こちらは個性的。


この話の魅力はなんと言っても主人公広野の個性。何度も挫折しそうになる沙奈歌に発破をかけ前へ進ませようとする広野がとにかく熱い! また会話の使い方が上手いし面白い。彼の普段の会話のほとんどが単語が1つか2つなので外面はクールで淡白な印象なのに、沙奈歌を説得したりする時は熱く長く語ってくれるので、そのギャップで彼の言葉が説得力を増している。
その反面、ヒロインの沙奈歌の影が薄いのが残念。広野が前へ前へというキャラなので沙奈歌が後ろ向きなキャラなのは話のバランス的にはいいけど、腐女子というわりには結構普通の女の子だったので広野の個性に食われた感じになってしまった。特徴が声だったのも原因かも。
続きをやるなら沙奈歌の魅力をどう出すかが鍵かな。


読んでる分には楽しいけど、冷静に考えると本当に広野みたいな恋人がいたら重いだろうなぁ(^^;