いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



塩の街―wish on my precious (電撃文庫)

塩の街有川浩電撃文庫
オンライン書店ビーケーワン:塩の街

塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。
その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。男の名は秋葉、少女の名は真菜。静かに暮らす二人を前を、さまざまな人々が行き過ぎる。あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた。
そして――「世界とか、救ってみたいと思わない?」。そそのかすように囁く男が、二人に運命を連れてくる。
第10回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞作。圧倒的な筆力で贈るSFラブ・ファンタジー

絶望的な状況の中での静かで烈しい恋の話。
とにかく切ない。真菜の一途な想いも、秋葉の優しさも、二人の前を行き過ぎる人達も。特に秋葉の不器用な優しさが印象的だった。
SFとしては舞台設定が非常に細かく考えられているのは良かった。ただそれが出撃のシーンの緊張感に繋がっていないのがもったいない。そのせいでラストが少し盛り上がりに欠けるのが残念。


陸は終わった。次は空だ。