いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



空の中

空の中有川浩電撃文庫
オンライン書店ビーケーワン:空の中

「変な生き物ゆうたわね? そやね?」
──秘密を拾った子供たち。
「お前を事故空域に連れて行く。話は現場を見てからだ」
──秘密を探す大人たち。
秘密に関わるすべての人が集ったその場所で、最後に救われるのは誰か。

470ページもあるので2日に分けて読もうかと思っていたのに、止まらなくなって結局全部読みきってしまった。


極上のキャラ小説。
考えられたきめ細かい設定や各機関各登場人物達の思惑が交錯するドラマも素晴らしいが、なんと言っても登場人物たちの魅力が際立っていい。一人称がコロコロ入れ替わり、未知の生物との接し方や追い込まれた状態での言動など、各キャラの視点でそれぞれの心情や人間性をこれでもかと丁寧に描いているために感情移入しやすく、キャラと一緒に一喜一憂できる。その中でも特に魅力的なのが空自の女性パイロット武田光稀三尉と川漁師の宮じい。
武田三尉の可愛さは異常
緊迫した場面でもこの人が出てくるだけで自然と顔が緩んでしまうくらい可愛らしい。見事なまでのツンデレぶり。この人といい『塩の街』の秋葉といい、不器用な人を描くのがホントに上手いなぁ。
宮じいは説教するでも怒るでもなく淡々と自分の意見を言って若者達を諭す姿がなんともいえない温かみがあり、またかっこいい。
本は分厚かったけど、それを感じさせない充実していてあっという間の読書時間だった。


次は海!