いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説桜庭一樹東京創元社
赤朽葉家の伝説

「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。

第60回日本推理作家協会賞受賞


良かった。何がと聞かれると明確には答えられないが、とにかく良かった。
近代日本の製鉄産業を背景にした赤朽葉家の3代の女たちの物語。その時々の時代の流れに時に抗い、時に流される強い女性の姿がわたしこと赤朽葉瞳子が語る形で淡々と紡がれる。
淡々と語られていくだけなのに、この物語に引き込む力は何だろう。上下二段の300ページオーバーなのにその長さを微塵も感じなかった。とにかく女性たちの心理描写が素晴らしい。
ただ最後の推理部分は別にいらなかったような・・・日本推理作家協会賞受賞だけど普通の純文として読んだ方がいいと思う。