いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



塩の街

塩の街有川浩メディアワークス
塩の街

塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。男の名は秋庭、少女の名は真奈。静かに暮らす二人の前を、さまざまな人々が行き過ぎる。あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた……。
第10回電撃大賞<大賞>受賞作にて有川浩のデビュー作でもある『塩の街』が、本編大幅改稿、番外編短編四篇を加えた大ボリュームでハードカバー単行本として刊行。


塩の街(本編)
(あとがきにある通り)大きな修正はキャストの年齢の違いと秋庭の出撃シーンのカット。
Scene-1の遼一の年齢が違うとここまで印象が違うものか。こっちの方がしっくりくる。逆に真奈の年齢が17から18に変わっても何も印象の変化はなし。編集が何で一つでも年齢を下げようとしたのかが理解不能なのは私がすでにおっさんだからか?(爆w
個人的には秋庭の出撃シーンは大幅に削ってでもいいから入れた方が良かったと思う。前に出撃シーンを読んでいるからかもしれないが、あそこでいきなり話が切れてしまっている印象を受けた。
あとがきに書いてある以外での違いはScene-6とScene-7が統合されてScene-7のタイトルが着いてることと、細かく加筆修正されていること。専門的というか説明の会話はちょくちょく修正が見られた。どうでもいいけどScene-2のトモヤの確保時間が二三〇〇から二三〇一に1分だけ変わってるのは何のこだわりが?
それにしても久しぶりに読んでもやっぱり切ないなぁ。



塩の街、その後」(短編四編)
いやもう甘いこと甘いことベタ甘。甘いの大好物なので顔にやけっぱなしだったw


◆旅のはじまり
任務で関西に向かう秋庭と真奈。そして2人の車をヒッチハイクした少年ノブオの話。
少年の暴走ぶりはやりすぎのような気もするが、それ以上に秋庭のベタ惚れぶりが印象的な話。最後の痴話喧嘩の時の秋庭のかわいいさは異常w


◆世界が変わる前と後
本編で真奈が自衛隊の駐屯地にいる時に味方だった野坂夫妻の話
ど真ん中直球ラブストーリー(そのまま「クジラの彼」に載せても何の違和感もないな)
自分の汚さ弱さを認められるのは強さだと感じられる話だった。


◆浅き夢みし
本編の悪役?の入江と塩害に罹ったお嬢様の話。
これは微妙。設定にも少し無理があるし、他の話と比べてちょっと浮いてる。


◆旅の終わり
任務で関東に帰る途中で寄った、秋庭の実家での話。
なんと言うかお幸せに!!といか言えないようなベタ甘な内容。たいへん美味しゅうございました。
ただノブオの本は微妙。ルポライターが書いた文というよりは小学生の作b(ry