いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)

「理由あって冬に出る」似鳥鶏創元推理文庫
理由あって冬に出る (創元推理文庫 M に 1-1)

芸術棟に、フルートを吹く幽霊が出るらしい――吹奏楽部は来る送別演奏会のため練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。幽霊を否定する必要に迫られた部長に協力を求められ、葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた! にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは?

第16回鮎川哲也賞佳作作品


個性豊かなキャラたちの人間ドラマが面白い!
どの登場人物もそれぞれにキャラが立っていているけど、中でも主人公を振り回す2人の先輩が濃い。一人は文芸部部長の伊神さん。頭脳明晰、大胆な行動力、そして傍若無人と完璧な探偵役だが、その理不尽さは失笑苦笑の嵐。喫茶店での振る舞いは思わず吹き出してしまったほど。もう一人は演劇部部長の柳瀬さん。いつでもどこでも自分のペースに持ち込む彼女の言動が読んでいて楽しい。こちらはお見舞いエピソードが秀逸。
ミステリーとしては助手役が語りべで犯人もトリックも推理させるオーソドックスなタイプ。ちゃんと謎解きが楽しめるし、大きな矛盾もない。ただ犯人にしてもトリックにしてもヒントが露骨過ぎるので、欲を言えばもうちょっとさり気なさが欲しいかった。
というわけで素晴らしいキャラ小説だった。まぁミステリー作品にこの評価はどうかとは思うんだけど(^^;
キャラ描写が良かったので、これからも追いかけていきたい新人さん。



〜どーでもいい考察〜
表紙の眼鏡少女は誰?


女性主要キャラは秋野高島柳瀬立花の4名。4名とも本編には眼鏡をかけているという描写は皆無である。
一人ずつ見ていこう。
まず立花。彼女はネタバレネタバレなので真っ先に除外。
次に秋野。彼女は葉山(主人公)を上目遣いに見ていたり、「小動物のよう」と表現されている。また高島の背格好の描写の時に「背は秋野よりさらに小さい」と表現されているので、葉山より目に見えて小さい事が予想される。表紙の眼鏡少女は葉山より少し低いぐらいの身長なので当てはまらない。また表紙の少女は勝気な顔をしている(ような気がする)ので、おどおどした秋野とは結び付けにくい。よって除外。
次は高島。秋野の時に述べたように「背は秋野よりさらに小さい」ので除外。
最後に柳瀬。彼女は背格好に対する描写がほとんどないので除外する材料は見当たらない。性格も明朗活発で表紙の眼鏡少女と結び付けやすい。
というわけで、消去法により眼鏡少女は演劇部部長の柳瀬先輩であろう推測される。