いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



カラクリ荘の異人たち 2 ~お月さんいくつ、十三ななつ~ (GA文庫)

「カラクリ荘の異人たち2 〜お月さんいくつ、十三ななつ〜」霜島ケイGA文庫
カラクリ荘の異人たち 2 ~お月さんいくつ、十三ななつ~ (GA文庫 し 3-2)

十五夜が近いある日、またも?裏の?賽河原町が夕焼けに染まってしまった。原因はもちろん、空栗荘の大家が眠ったまま起きてこないせいである。いささか迷惑な事象ではあるが、しばらく経てば終わることと住人達はみな楽観していた。しかし、丸一日以上経っても起きてはこなかったのだ。さすがに問題有りと、大家を起こすためあれこれ一計を案じる住人達だったが、彼はなぜか、いっこうに目覚める気配がない。そんな騒ぎの中、太一のクラスメイト采菜が「弟が薄売りに連れ去られた」と、なぜか大家を頼って空栗荘にやってきたのだが――。
河原町奇談第二弾登場!!

心に傷を持ち感情の一部が欠けてしまっている少年太一と、空栗荘の住人が織り成すハートフルストーリー。約1年ぶりの待ちに待った2巻。


おお、太一が前向きだ。
基本受動態なのは変わらないけど、頼まれた物事の中で自分で何かしようという姿勢が見えるのが何だか嬉しい。空栗荘の住人や采菜との触れ合いの中で、太一の傷がちょっとだけど確実に癒えているんだなぁ。太一にはあまり自覚がなさそうだけど、采菜の不器用な励ましも無邪気に懐くアカネの振る舞いもお露さんの厳しい言葉も他の空栗荘の人たちとの会話もちゃんと太一に届いてるんだと分かって心が温まると同時にちょっと泣きたくなった。
あとは相変わらず雰囲気が素敵。太一ののんびりとした性格とまさに田舎って感じの賽河原町と憎めない妖怪たちが相まってノスタルジック。
やっぱりいい、好きだなぁこの物語(しみじみ