いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



プリンセス・ビター・マイ・スウィート (MF文庫J)

「プリンセス・ビター・マイ・スウィート」森田季節MF文庫J
プリンセス・ビター・マイ・スウィート (MF文庫J)

理由不明の家出を繰り返す美少女、チャチャはクラスメイトから「魔性の女」と呼ばれるいわくつきの高校生。そんなチャチャと小学生の頃から付き合いのある晴之は、ある日彼女のとんでもない秘密を知ってしまう。秘密を知られたチャチャは姿を消し、そのことでチャチャへの恋心を自覚した晴之は、風紀委員の神人と共にチャチャの捜索に向かうのだが――。京都の街で巻き起こる連続殺人事件を背景に、チャチャに惚れてしまった晴之、あわれなチャチャの弟、謎の存在であるチャチャの兄の三人が、可愛くて恐ろしい女の子にその身を捧げるおかしくもせつない物語。

前作のメインテーマであるイケニエビトの敵(捕食者)であるタマシイビトにスポットを当てた作品。


小悪魔チャチャにやられました。
捻くれ者の殻を被った自分に素直になれない女の子。初めのうちの時はその程度にしか思ってなかったのだけど、話が進みチャチャの本心、その真っ直ぐな想いが明らかになってくると、殻を被った台詞の数々が可愛いし切ないしでいつの間にやら虜に。
最後、読み終わった後は無性にチャチャを応援したくなった。そしてどう考えてもこの後も前途多難だけどチャチャなら何とかしてしまいそう、そんな魅力とパワーをもった女の子だった。
相変わらず粗や矛盾は目立つけど、彼氏?視点や→弟視点→兄?視点→本人視点と事の真相とチャチャの想いを徐々に外堀を埋めていく展開は上手いし、何より小さなことは気にならないほど素敵な初恋のお話だった。
前作にあった都市伝説を追いかける不思議要素と音楽の要素が大分薄れてしまっているので、作品の雰囲気は前作の方が好みだが、読後感はこっちの方がいいかも。