いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「伝説兄妹!」おかもと(仮)(このライトノベルがすごい!文庫)

伝説兄妹! (このライトノベルがすごい!文庫)
伝説兄妹! (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫 お)

才能はなく、お金もなく、だが働きたくない。ないない尽くしのダメ大学生・柏木は、食糧を求めて入り込んだ山の中で、奇妙な遺跡を発見する。遺跡の中で出会った少女が持つ、凄まじい詩の才能を目の当たりにした彼は、彼女をデシ子と名づけ、妹として自分の家に住まわせ始める。彼女の詩を自分のものとして売りさばくことで、一躍大金持ちとなる柏木だったが……!? 伝説的スケールで贈る、笑いと涙と感動の神話(in小樽)!

第1回『このライトノベルがすごい!』大賞、特別賞作品


終わり良ければ全て良し! ・・・と言いたいところだけど、流石に我慢する期間が長すぎたなあ。
第四章までがきつい。
ボロアパートにダメ大学生、少し堅い一人称の語り口と、どこか森見作品を思わせるのだが、残念ながらその面白さまでは似なかったようだ。主人公のダメさには欠片も愛嬌がなく読んでいて腹が立ち、かと言って地の文にはさしたるユーモアもなく笑えない。唯一の救いは子犬属性のデシ子の可愛さなのだが、そのデシ子を蔑ろにする主人公にまた腹が立つので悪循環。
ところが一転、第五章になると面白い。
物語が一気にスケールアップし彼の言う“主人公”になると、それまでのダメさはどこへやら(ヘタレはそのままだけどw)。行動の突拍子なさが笑いを誘い、一本芯が通った物言いが涙を誘う。それまでダメダメだった奴に感動させられるのが癪だが、やられた感と笑顔で読後感はとても良い。


この最後を楽しむための主人公のダメっぷりと思えないことも無いけど、、、やっぱりマイナス面が大きいな。四章までに何か一つ楽しませてくれる要素があれば素直に薦めらるのだが(^^;
まあなんと言うか、最後を思いっきり楽しむために4/5は我慢してお読みください。