いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「狼と香辛料 XV 太陽の金貨 〈上〉」支倉凍砂(電撃文庫)

狼と香辛料〈15〉 太陽の金貨<上> (電撃文庫)
狼と香辛料XV 太陽の金貨<上> (電撃文庫)

ホロの故郷の仲間の名を冠す『ミューリ傭兵団』。彼らに会うため、ロレンスたちは鉱物商・デバウ商会が牛耳るレスコの町を訪れることになる。
デバウ商会には、北の地で征服を企んでいるとも、さらなる鉱山開発を進めようとしているとも噂があり、そのため商会は町に武力を集めているという。だがロレンスとホロが訪れた町は、意外にも活気に溢れた平和な様子だった。訝しがりつつもロレンスたちは、ミューリ傭兵団が滞在する宿屋を目指すことに。そこで二人を出迎えた人物とは──?
北を目指す狼神ホロと行商人ロレンスの旅は、いよいよ最終章へ突入する──!!


静かだ。最終章の始まりだというのに凄い静か。
表立って事件に巻き込まれていないというのもあるが、作品の活気はホロの調子に左右されるんだと実感した。


ホロがしおらしかったからなのか、前巻で山を越えてきたからなのか、二人の関係は甘いというより温かいにもの変わっていた。特に店を持った時の絵空事から、デバウ商会が仕掛けた町の儲けの仕組みを暴くまで一貫して、二人が一緒にいることを前提に話が進んでいることに、安堵と幸せを感じた。
それにしてもロレンスは何事にも動じなくなったなあ。ホロ以外の人と対話している時には安心感があるけど、対ホロの時はもう少し慌ててくれないとニヤニヤ出来ないじゃないか。
そんなロレンスの成長に頼もしさと少しの寂しさを覚える15巻だった。
さて、ほんの少しの不穏な空気だけで後は驚くほど穏やかだったのに、最後にこれかい。彼の安否と二人の旅の終わり方が気になる下巻が待ち遠しい。