いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「不思議系上司の攻略法」水沢あきと(メディアワークス文庫)

不思議系上司の攻略法 (メディアワークス文庫)
不思議系上司の攻略法 (メディアワークス文庫)

梶原健二はしがないSE。その日も土曜日にも関わらず取引先に呼び出されていた。仕事が一段落した後、連れて行かれたのはよりによってメイド喫茶。しかし、健二はそこで「カヨ」と呼ばれるメイドと出会い、その献身さに一時の癒しを得たのだった……。
そして月曜日。グループ企業から派遣された年下の女性が健二たちのチームの上長として着任。露骨に煙たがる同僚たちをよそに、健二はまったく別の衝撃を受けていた。その女性はメイドの「カヨ」に良く似ていて……!?


もっとニヤニヤ出来る話なのかと思ったら、仕事の苦労や会社の中でのしがらみなどの方がウエイトが大きい話だった。主人公とは業種が全く違うので「へー」とか「そういうものか」と思うことが多くて、それはそれで楽しかったり。
それでも苦労は分かるし、仕事以外の面で一部共感できることがあったりと、彼に感情移入するのは難しくなかった。そんな彼が激務と難しい人間関係の板挟みの中で彼女のために奮闘する姿は、初めのうちは大いにヘタレで不器用でヤキモキすることばかりだったが、その保身なしの体当たりな一生懸命さがじわじわとかっこいいと思えてくるから不思議。
最後の方はちょっとフィクションに飛びすぎなのが引っ掛かるが、落としどころは悪くないし、最後だけはニヤニヤ出来たしで読後感はなかなか。好みを言えばもう少し恋愛の色があった方が良かったけど。


しかしこの二人、よく身体持つなぁ