いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「青春ラリアット!!」蝉川タカマル(電撃文庫)

青春ラリアット!! (電撃文庫)
青春ラリアット!! (電撃文庫)

「行くぞコノヤローッ!」
どこかの有名レスラーばりにマイクコールをし、全校朝礼の場で公開告白をした月島。その結果は──当然、停学処分となったのだった。
バカの日本代表、月島を心配する者がひとり。友人の宮本である。宮本は傷心の月島を見舞うことに。その道すがらで出会ったのが、整った顔立ちながら愛想のかけらもない無表情の少女、長瀬だった。
どうも、長瀬は月島に惚れているらしい。その事に驚きつつ、自分に対してはなぜか横柄な彼女に怒りも覚える宮本だった。この奇妙な三角関係が、風雲嵐を巻き起こす事になり!?

第17回電撃小説大賞<金賞>受賞作。



いい面と悪い面がはっきり分かれた話だった。
男キャラは極上。
筆頭はもちろん月島。オープニングから度肝を抜くバカっぷりで素晴らしい笑いと衝撃を振りまき、その後の自分を振った女の笑顔のためだけに拳一つで突っ走る姿は爽快の一言。
もう一人押したいのは親バカ極道親父。親バカもここまで来ればいっそ清々しい。
他の面々も気持ちのいいバカ達ばかりで、そんな奴らが己の信念や友情を賭けて拳で語り合ったり吼えたりする姿に、熱くならないはずが無い。
一方で、長瀬(ヒロイン)の宮本(主人公)弄りにやりすぎなところを感じたり、ある電話のタイミングなどストーリーでは首を捻る場面がいくつかあったりと、感覚のズレを感じることも多かった。
バカ達が熱い話だったので常識派の宮本視点でそれに付きまとっていた長瀬ばかりが目立っていたのが残念。月島押しでいってくれれば、もっと笑えてもっとスッキリした読後感を味わえたと思うのだけど。
続きそうな気配だけど、この作者にはもっと男臭い話を書いて欲しいなぁ。