いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「神さまのいない日曜日 IV」入江君人(富士見ファンタジア文庫)

神さまのいない日曜日IV     (富士見ファンタジア文庫)
神さまのいない日曜日IV (富士見ファンタジア文庫)

神様は月曜日に世界を作り、日曜日に捨てた。そして最後の奇跡と呼ばれる〈墓守〉が生まれた。それが15年前。
消えた傷持ち(スカー)を追い、霧の街へ迷い込んだアイ。人っ子一人、死者一人いない奇妙な街で、アイは雲を突き抜けて鎮座する奇妙な塔に遭遇する。
“世界塔(ザ・タワー)”――人々の願いを、かなえる場所。
アイは、アリスやユリー、ディーらと共に、傷持ちの手がかりを追いながら、世界塔へと足を踏み入れるのだが――?
死者を埋められない墓守。妹のために石を積む兄。願いが叶うという塔で〈最後の奇跡〉墓守アイが願う夢は――


学校から脱出した一行は、新レギュラー(多分)のアリスとディーを加え、傷持ちが居ると思われる謎の塔へ。うん、早くも何が出てきても驚かなくなってきたな、このシリーズ。
でも、アイの信念とそのアイを愛でるという読者の楽しみ、二つの軸はぶれてない。そんな訳でアイちゃんは今回も大層可愛かったのでありました。
しかし今回の主役は三十路男ユリー。
これまでアイに振り回されるだけの存在ながら、年齢が近いこともあり共感できたり、彼目線でアイを愛でていたりしていたのだけど、今回で随分と高みに行かれてしまった。
アイに、傷持ちに、自分の願いをもの凄い恥ずかしい台詞で堂々と言い切った姿はカッコイイと言うほか無い。その内容はわがままに近いものがあるけど、男の気概というか器の大きさを感じさせるもので台詞の恥ずかしさも相まって清々しくらい。ユリーさんマジ男前。しかしあれだね、おっさんが活躍すると妙に嬉しいねw
次は総決算(*最終巻ではない)な話になるそうで。一体どんな展開になるのか、突拍子のないこのシリーズでは予想がつかない。そういえば初めて引きが傷持ちじゃなかったなあ。