いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ベン・トー7 真・和風ロールキャベツ弁当280円」アサウラ(スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 7 真・和風ロールキャベツ弁当280円 (スーパーダッシュ文庫)
ベン・トー 7 真・和風ロールキャベツ弁当280円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 9-10)

半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋は、ひょんなことから未曾有の経済危機に陥り、『変態』の二つ名を体現する日々を送っていた。そんなある日修学旅行で槍水が不在になる間、佐藤は彼女の縄張りであるスーパーを託されることに。しかし槍水と入れ替わるようにHP同好会に烏頭みことと名乗る美人OGが現れ、佐藤は彼女に翻弄されてしまうのだった。烏頭はかつてHP部が解散するに至った原因は槍水にあると告げるのだが――。毒を食わらば皿まで!「狼」の誇りを持って落とし前はきっちりつけろ!庶民派シリアスギャグアクション第8作!


どうして、、、どうして佐藤の頭はこんなに残念なんだ。
相手はあのクリーチャー白粉先生ですよ。そんな嬉しい展開になるはずがない、それはお前が一番よく分かっているはずなのに。空腹のせいか高段位桜花少年団だからなのか、見え見えの罠に嵌っていく佐藤の姿に涙が止まらない・・・はい、もちろん笑いすぎの涙ですw


そんな感じで、1章は安定の出オチに始まり、残念な佐藤と白粉得な内容に大いに笑わせてもらったのだが、そこから先はスポ根50%増量(当社比)の完全燃えモード。
一度挫折を味わってから立ち上がる王道展開いつも通りなのだが、今回は敵が違った。友情も違った。
敵はOG烏頭みこと(表紙の眼鏡お姉さん)。この作品には珍しい嫌なタイプの悪役でかつ文句なしの実力者。このタイプの強敵は、負けた時の凹みも大きいが、乗り越えた時の喜びや爽快感も大きい最高のスパイス。
そして佐藤が凹んだ時が一番熱かった。
ここで見えたのはこれまで闘った狼たちとの絆。佐藤を立ち直らせた沢桔(姉)の真摯な言葉や、バトル中の茶髪の言葉とその後の行動、その他にも何人かの狼たちが佐藤のためにとる言動に、胸が、目頭が熱くなる。
章のタイトルがアレなので大事な時に佐藤の残念さが出てしまったのかと思ったが、これなら納得。狼の時のお前に惚れない奴なんているわけないじゃないか。まあ、通常時に惚れてくれる相手は間違いなくいないだろうけどw


槍水先輩が修学旅行で不在のため可愛い先輩分は足りなかったが、それを補って余りある熱さと面白さだった。そしてやっぱり腹が減った。
和風ロールキャベツ今度作ってみよう。




アニメ化かー。セガがスポンサー、までは行かなくてもネタOKは出してもらわないと面白さ半減するなぁ。
それよか、SD文庫のアニメ化って良いイメージがないから不安の方が大きい。『銀盤カレイドスコープ』とか『紅』とか作者が不幸になるという意味で。特にアニメにあわせて無理な刊行とかはやめて欲しいなぁ。