いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「空をサカナが泳ぐ頃」浅葉なつ(メディアワークス文庫)

空をサカナが泳ぐ頃 (メディアワークス文庫)
空をサカナが泳ぐ頃 (メディアワークス文庫)

出版社で超多忙な毎日を送る中津藍。そんな彼が、ある日、煙草を吸いながらふと空を見上げると、一匹の魚が泳いでいた。慌てて目をこすってみるが、魚は消えることなく優雅にヒレを揺らして通り過ぎていく。しかもサメやらクラゲやらも、次々と現れては悠々と空を泳ぎはじめ……。
いったいこの鬱陶しい現象はなに? 藍は同じように魚が見える人たちと共に、彼らを消す方法を探し始める。しかし、魚は増える一方で、しかも魚が視界を埋め尽くすとき――。
さまざまな想いを交差させ、ちょっと変わった仲間たちが繰り広げる、未来を賭けた大騒動。
第17回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞〉受賞作!


読んでいてイライラするだけだった。
どこをどう読めば楽しめたり、感動出来たりするんだろうか。常にイライラしている男の日常を読まされて楽しめるMな人は、世の中にそれほど多くないと思うんだが。
そもそも、なんでこれをライトノベルの賞である電撃小説大賞に送ろうと思ったんだろう? 理解に苦しむ。



以下酷評
見えてくるのは仕事に追われる社会人の日常と、湧いて出たアクシデントに慌て、周りの身勝手さに振り回され常にイライラする男の姿。
まあ、彼がイラつくのはわかる。これだけ自分勝手な連中に囲まれていたら、自分でも1日に何度もキレるだろう。しかし、それに共感できたからと言って当然物語を楽しめるはずもなく、不愉快な気分が募るだけ。
それに、魚が見えるという不思議体験は一体なんだったのか。作品の中心であるはずのこの現象がこれっぽっちも生かせていない。後半を読む限りでは若者の悩みや燻っている夢の隠喩として使いたかったようだが、それにしては前半にそれを匂わせるような表現はなく、後半、しかも解決間近にこじ付けのように説明されるだけで、物語中盤では何の意味も成していない。
また、最後だけはいい話のようにまとめてはいるが、最後だけ借り物の言葉のような薄っぺらい人生論で綺麗にまとめられても、それまでがそれまでなので感動なんてあるわけがない。逆に取り繕ってるだけのように感じて、イライラが増しただけ。
何が良くて賞に選ばれたのか自分には全然分からない。