いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「リヴァイアサンのセカイ」チャー(ガンガンノベルス)

リヴァイアサンのセカイ (ガンガンノベルズ)
リヴァイアサンのセカイ (ガンガンノベルズ)

その生き物の名は“リヴァイアサン”。セカイを支配する絶対多数の怪物と呼ばれている――…。


鎖国状態の日本で、突如起こった吸血鬼による惨殺事件・通称津山事件。死者30名を数えたこの事件により日本政府は重い腰をあげ、吸血鬼と対等に戦える人間を育成し始めた。その名はピースメイカー、現代のヒーローである。

日本が鎖国していたり中国が内乱状態だったりと、史実が入り混じった特殊な現代を舞台に、人間と吸血鬼が相対する伝奇アクション。



血にオタクネタに科学薀蓄、思いっきり趣味に走った一冊。
物語前半は、時代背景や吸血鬼の置かれている状況など重めの話の展開と、キャラの発するオタクネタ要素満載の台詞とのギャップに面食らって、ノリきれないところが多かったた。但し、魯班先生だけは別格。理系バカとしては彼が語る爆弾など化学系の薀蓄にはワクワクが止まらない。
物語としての本番は、その魯班先生が本気を出してから。
人ならざる者たちの壮絶な戦いと、思いも寄らない、全く容赦のない展開に手に汗握る。そして切り方がなかなかえぐい。優しさゆえに報われない吸血鬼の少女と、人生を狂わされた二人の人間の想いがずっしりと心に残る終わり方。これは続きが気になる。
個人的にオタクネタの乱発が微妙だったというのもあるが、後半を読む限り、思いきってシリアスに偏らせた方が伝奇ものとして読み応えがあるものになりそうな気がする・・・・・・が、おふざけを入れていかないと作者のテンションが持たない気もするw