いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜」三上延(メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない、若くきれいな女性だ。だが、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。
だが、古書の知識は並大抵ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。
これは“古書と秘密”の物語。

古本屋に持ち込まれる古書にまつわる出来事を紐解く安楽椅子探偵もの。



今年に入ってメディアワークス文庫は外れ(期待外れ含む)ばかりだったのだけど、これはクリーンヒット。
ここまで的確に好みのツボを捉えられては降伏です(字は幸福でも可


まずは、古書堂というシチュエーションと目次のページの口絵が醸しだす静かで少し暗い落ち着いた雰囲気。古書独特の香りが漂ってきそうで、それだけで心が弾む。
それに入院中の店主、栞子さんがいい。普段はビクビク、本が関わった時だけ元気になるギャップが可愛いやら面白いやら。特に第四話で、頭脳と性格の両面で見せた鋭さは、小動物が狼に変身したようでゾクッとした。
話の方もその第四話が一番良かった。一から三話までのどこかほのぼのとした雰囲気も好きだが、第四話はそれまで張られていた伏線が丁寧に拾われていくのが気持ちよく、最後には何重ものサプライズが用意されていて最後まで気が抜けない。それに主人公と栞子のほのかなロマンスも。
とても面白かった。充実した読書時間だった。
シリーズ化しないかな。店にいる栞子さんの話も読みたい。