いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「僕と姉妹と幽霊の約束」喜多南(このライトノベルがすごい!文庫)

僕と姉妹と幽霊の約束 (このライトノベルがすごい!文庫)
僕と姉妹と幽霊の約束 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫 き)

先祖代々、霊感体質の高校生・結城クロ。ある日の放課後、彼は教室で、クラスメートだった長谷川紫音の幽霊と出会う。紫音を成仏させるため、彼女が心残りに思っていることを解決しようと申し出るクロ。だが、紫音はその提案を一蹴し、命令口調で「私を生き返らせなさい」と言い放った。マイペースな紫音の行動は、クロやクロの3人の姉妹、他の幽霊たちも巻き込み、様々な事件を引き起こす。しかし、やがて紫音の記憶と存在が薄れ始めて……。第2回『このライトノベルがすごい!』大賞・優秀賞受賞作!


霊感の強い少年と幽霊の少女が織りなす切なく優しいハートフルストーリー。大賞に続きライトノベルとしてはオーソドックスなタイプ。
ぶつぶつ文句を言いながら結局関わってしまう主人公・クロの優しさはあるものの、幽霊の話にしては切なさ成分が足りないなあと思いながら、ストーリーよりも元気が有り余っている感じの女性陣を楽しんで読んでいた。第四話までは。
それがまさか、最終話でここまで化けるとは。
二度も三度も起こるどんでん返しに、ここまで溜めに溜めてきた本心をぶちまけるクロ。ようやく本音で語り合えた幼馴染み、親友の関係の3人。怒涛の泣けるシーンラッシュに涙腺崩壊。
中でも親友志郎の境遇と優しさが沁みる。志郎本人は満足してたみたいだけど、報いが少なすぎて読んでいるこっちは辛い。
途中まではラブコメ色が強く設定とのギャップに少々戸惑ったけど、最後はちゃんと泣けるいい話だった。



あの姉妹に囲まれていながら選んだのが紫音・・・クロはMですね、わかります。