いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「灼熱の小早川さん」田中ロミオ(ガガガ文庫)

灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)
灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)

人間関係も勉強もそつなくこなし、万事如才ない高校生となった飯嶋直幸。県下でもトップレベルの進学校に入学した彼は、なに不自由ない学園生活を手にした。伝統と自粛のバランス――そんな口当たりのいい雰囲気に突然水を差したのは、クラス代表となった小早川千尋。自ら代表に立候補し、履行の邪魔なので副代表は不要と言いはなった眼鏡女子。常にテンション高め、ガチガチの規律でクラスを混乱に陥れる彼女のその手に、直幸は炎の剣を幻視する。そして彼女の心の闇を知るのだが――。田中ロミオ最新作は、ヒロイン観察系ラブコメ!?

学級崩壊状態のクラスで吼えるクラス代表小早川さんと、それを見守る主人公・飯島の話。



一二章のワクワク感と、三四章の尻すぼみ感のギャップが凄い。
前半は面白かった。
主人公と小早川さんの双方の二面性に、本心を吐露する痛いブログの存在。全く改善が見られないクラスメイトとの関係、そして淡い恋の気配。
ブログはどう使われるんだろうとか、堅物娘がどうデレるんだろうとか、どう収束するんだろうとか、楽しみな点がいくつもあって、後半への期待は膨らむばかりだった。
ところが三章に入ると、最後まで突っ走ってくれるのかと思っていた小早川さんは失速、何度も暴走する主人公に、全く出てこなくなるブログと、期待とは反対の方向に。
でも、そこまではまだ良かった。予想外の展開なんてよくある話だし、最後さえしっかり収束してくれれば問題なく楽しめたはずだったのだが……。
この事後説明みたいな全く面白味のないオチはなんなんだ?
スッキリするはずの小早川さんの逆転シーンは内容が思いっきり端折られてるし、学級崩壊から立ち直った描写もなし。あの状態から最後仲良くなる過程はどう考えても思い浮かばない。納得がいかない。それに、せっかくそういう関係になったのに甘さまでがっつりカットされている。
このラストでどう納得しろと? どう楽しめと? 物足りなさと残念感で読後感が非常に悪い。





11月の新刊に『人類は衰退しました 新装版』の文字が。
これはイラストレーターと揉めた? 小学館はそういう(集英社がよくやらかすような)ことしないと思っているのだけど、真相はいかに?