いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「氷結鏡界のエデン8 悲想共鳴―クルーエル・シャウト―」細音啓(富士見ファンタジア文庫)

氷結鏡界のエデン8 悲想共鳴‐クルーエル・シャウト‐ (富士見ファンタジア文庫)
氷結鏡界のエデン8  悲想共鳴‐クルーエル・シャウト‐ (富士見ファンタジア文庫)

シェルティス、思い出して。天結宮の錬護士であったあなたは三年前、穢歌の庭に転落していくユミィを庇って助けた代償に、自分が穢歌の庭に堕ちてしまったのですよ」
異篇卿イグニドによって告げられた事実に混乱する天結宮。イグニドの企みを阻止すべく帰還したシェルティスだったが、上層部によって身柄を拘束されてしまう。そんな中、シェルティスとユミィの関係を知ってしまったモニカは、固く心を閉ざしてしまい……。
生死不明のレオン、狙われる春、バラバラになった部隊の思い、そしてシェルティスに新たな試練が降りかかる――。
少女の選択が壊れた絆を取り戻す、重層世界ファンタジー

前巻の続きで天結宮内部の混乱がメインの話。



ヴァイエル兄さんマジカッケー。
元々言動に似合わない家事能力や、影で努力する姿が光るお気に入りキャラだったけど、ここで男気と仲間想いな面まで見せてくれますか。華宮でなくてもこれは惚れるね。
心情的にはモニカ回。
意固地になっている期間が長くてヤキモキしたけど(それはそれで乙女なモニカさんを楽しめて良かったんだけどねw)、モニカの性格が出たはっきりした結末は清々しい。
さて、肝心のシェルティス先生は・・・あれ?普通だ。もっと凹むのかと思ったら、二度目だから耐性があるのか。
相変わらず穏やかに見えて直情型、いい意味でも悪い意味でも。オープニングで考えなしに戻った時は馬鹿かと(^^; それより久々の無双が一瞬で終わってしまったのが残念。大剣サイズの二刀ってどこぞのキリトさんですかw
と、メインキャラの個人レベルでの話は良かったんだけど、物語全体としてみると「ちょっとなあ」と思うところが多い。
混乱していることを差し引いても天結宮の動きには首をかしげる
内部の敵対勢力が出てきたと思ったらやり口のぬるいし、春蕾誘拐という大事件が起こったのに拍子抜けするほど扱いが軽いしで、巫女以外の上層部の人たちがごっそり居なくなってしまったような印象を受ける。
それに穢歌の庭を巡る謎の話も、イグニドの前巻の内容をなぞる様なセリフばかりで全然進まない。
最後の最後にようやく動き始めたと思ったら、次は半年後か。長いな。