いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「VS!! ―正義の味方を倒すには―」和泉弐式(電撃文庫)

VS!!―正義の味方を倒すには (電撃文庫)
VS!!―正義の味方を倒すには (電撃文庫)

俺は21号。悪の組織の下っ端戦闘員だ。キーって叫びながら、変身ヒーローにアッサリ倒されちゃう、全身黒タイツのアレだよ、アレ。キー!
毎度毎度、新たな怪人とともに懲りもせずにヒーローに挑み、敗北ばかりの日々。よくみんな飽きねぇな。というか、ヒーローに勝つなんて無理に決まってるじゃん。
そんなある日、史上最強の怪人〈ジャバウォック〉が誕生したという噂が流れたが、なんとソイツは――。
怪人ですら敵わない無敵のヒーローに挑む、雑魚戦闘員の熱血ストーリー!

いわゆるショッカーが正義のヒーローに勝とうとする物語。



魔王など悪の側の視点で書かれた作品は最近よく見かけるが、本作はそこにさらに下剋上をプラス。これが熱くないわけがない。
前半は設定説明とキャラ紹介がメインの日常パート。
これがこの人ホントに新人さん?と疑いたくなるほど読みやすい。
設定の説明が上手で理解しやすく、全然くどさを感じない。その上、日常コメディをしっかり楽しみつつ、各キャラクターの性格も容易に把握できる。
そして第二章後半からが本番のアクション。
弱者vs強者ならではのハラハラ展開も見所だが、主人公である21号が本気になるきっかけや決戦中の台詞など、そこまでの戦闘員内ので人間ドラマがしっかりしているのでより盛り上がる。
設定そのものも面白かったが、それを楽しく熱く読みやすく仕上げた新人とは思えない完成度に脱帽。
今のところ「窮鼠猫を噛む」程度までしか行っていないので、この先どんなことを仕出かしてくれるのか続きが楽しみ。