いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。2」左京潤(富士見ファンタジア文庫)

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。2 (富士見ファンタジア文庫)
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。2 (富士見ファンタジア文庫)

勇者試験の直前に魔王が倒されてしまい、勇者になれなかった少年ラウルと、父親である魔王が倒されて、居場所がなくなった魔王の娘フィノ。二人は王都にあるマジックショップで、なぜか一緒に働く日々を送っていた。そんなある日、業界最大手である『アマダ・マジック』が近所にオープンし、ラウルたちのお店は閑古鳥状態に。偵察のために敵地に乗り込んだラウルだったが、そこではかつてのライバルだった少女がレジを打っていて――。
「『オールA』っ! どうしてお前がこんなとこに!?」
「こ、これはっ、そのっ……せ、潜入警備よっ! 潜入警備っ!」
勇者の卵と魔王の卵が織りなす、ハイテンション労働コメディ!!


異世界なのに世知辛い職業もののファンタジー第2弾は主人公・ラウルの元ライバル、オールAことアイリの話。
自分の気持ちに区切りをつけ今の仕事を頑張ろうとするラウルと、未だに勇者になることを諦めきれないアイリのぶつかり合いは青春っぽいし、ラウルの説教は説得力もあったし相手のことを考えたいい言葉だった。でもよく考えると、対立するところがファンタジーにあるまじき題材な上に、夢を見ている方が諦めた方に説教されるというのは、ライトノベルにあるまじき展開だなあと。この世知辛さと苦笑が浮かびそうな現実感が好き。
またラブコメしても面白かった。フィノにつっかかる様子といい、本人がいないところでのデレ具合といい、アイリさんツンデレでした!w
フィノの子犬的可愛さも健在。欲を言えばもう少し出番が欲しかったけど、今回はアイリ回だから仕方ないか。
次からワンコ属性vsツンデレの熱いバトルが始まる……かどうかは知らないけど、さらににぎやかになるのは間違いなさそうで続きが楽しみ。