いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ゴールデンタイム外伝 二次元くんスペシャル」竹宮ゆゆこ(電撃文庫)

ゴールデンタイム 外伝 二次元くんスペシャル (電撃文庫 た 20-20)
ゴールデンタイム外伝―二次元くんスペシャル (電撃文庫 た 20-20)

三次元に絶望した男──その名も二次元くん。本名は佐藤。大学一年生。
大学でも三次元の女は完全スルー、脳内嫁(名前はVJ。セーラー服で日本刀を持って戦う14歳。好きな食べ物はチョイス)との対話や自作小説の執筆に明け暮れていた。
そんな彼へ三次元からの刺客が現れる。
中学時代の後輩──魔性の秋。雰囲気のある美少女で、思わせぶりな微妙すぎる距離感をもって接してくる。大学の同級生──同人戦士・愛可。二次元に生きる者同士の共感を武器に二次元くんに迫りくる。
はたして二次元くんは二次元への想いを貫けるのか!? 竹宮ゆゆこ駒都えーじが贈る二次元叙情巨編!


二次元くんは俺等の仲間だと思ってたのに、敵だった。生まれながらにして勝ち組だった。ばくh
慕ってくれる美少女後輩がいて、同種の趣味の美少女とさらっと知り合えるなんて三次元じゃ有り得ない!(そうです、二次元です。


という、おバカな嫉妬は置いといて、
事ある毎に出てくる脳内嫁・VJとの脳内会話が字面通りにイタいのだけど、そこかしこにボケが挟まるので苦笑ではない笑いがあるのが作者らしい。中二病を題材にしてもゆゆこ節は健在か。
また、その脳内会話がストーリー上予想外に重要なポディション。会話内容に浮き沈みの激しい二次元くんの心情が反映される上に、自分の状況を正しく理解し自嘲しているのもよく分かるので、彼の人の好さや葛藤が手に取るようにわかる。こういう心理描写の方法もあるのかと妙に感心してしまった。
但し、その脳内嫁の扱いがひどい。剥かれたり、斬り合ったり、海苔だったり。二次元愛どこいった? 最終話で色々と酷い目にあっているのは脳内嫁と海苔をぞんざいに扱ったせいだね、間違いなくw
本編がどシリアスな反動もあるのか青春だけでなく笑いもあり、展開も激しくてかなり面白かった。本編で彼女とのツーショットをからかわれる様子とか見てみたいなあ。