いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」宇野朴人(電撃文庫)

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (電撃文庫)
天鏡のアルデラミン―ねじ巻き精霊戦記 (電撃文庫 う 4-4)

隣接するキオカ共和国と戦争状態にある大国、カトヴァーナ帝国。その一角に、とある事情で嫌々、高等士官試験を受験しようとしている、一人の少年がいた。彼の名はイクタ。
戦争嫌いで怠け者で女好き。そんなイクタが、のちに名将とまで呼ばれる軍人になろうとは、誰も予想していなかった……。
戦乱渦巻く世界を、軍人としての卓越した才で生き抜くイクタ。その波瀾万丈の半生を描く、壮大なファンタジー戦記、ここに開幕!

怠け者で女好き(しかも年上)のロクデナシの主人公・イクタが、トップまで上り詰めるサクセスストーリーの1巻。



これはヤバい、ツボだ。めちゃくちゃ面白い。
一番の魅力はなんといっても怠け者の皮を被った出来る男にして時々熱い男・イクタ。
ファンタジー戦記なので精霊や魔法が出てくるが、それらはあくまで道具。それらをどう使うか、科学と魔法の両方の知識を元に発想力と度胸で何度も窮地の局面を打開していくイクタの姿は読んでいてワクワクする。
真骨頂は最後の訓練。まだ模擬戦なのに戦記と名乗るに相応しい戦略性とイクタと仲間たちの個の強さを十分に見せつけてくれる。また、その前に嫌な上官をとことん悪者に描いているので、痛快さも半端じゃない。
それにコメディ部分では思いっきり遊んでいるのも良い。
イクタのはっちゃけた言動も面白いが、他の5人の仲間がそれぞれに個性的かつ役割がしっかりしているので、彼らとのやり取りがまた楽しい。中でもイクタとヤトリのツーカーなボケとツッコミが好き。
唯一の難点というか首をかしげるのは、マスコット的な容姿で人間と言葉でコミュニケーションが取れる設定の精霊が全く生かされていないこと。今のところ精霊のいる意味皆無。ただ、プロローグとエピローグで彼らを研究する博士が出てくるので、今後はストーリーに関わってくる?
ホント面白かった。次も楽しみだし、作者の他の作品も読んでみよう。



なんでヤトリが表紙なんだろう。この内容ならイクタ+姫の表紙が妥当だと思うんだが。女の子キャラ一人の表紙にこだわるラノベ業界の考え方がよく分からん。