水上学園都市“六花”。通称アスタリスクと呼ばれるこの都市は、世界最大の総合バトルエンターテイメント《星武祭》の舞台として名を馳せている。六つの学園に所属する《星脈世代》の少年少女が、煌式武装を手に己が願いをかけて覇を競う――天霧綾斗もそんな学生の一人。星導館学園の生徒会長クローディアの誘いを受けて六花を訪れた綾斗は、転校早々《華焔の魔女》ユリスの怒りを買い、決闘をすることになってしまう。「大人しくしていればウェルダンくらいの焼き加減で勘弁してやるぞ？」「……それは中までしっかり火を通す気満々ってことだよね？」ところが決闘の最中、ユリスを狙う凶弾が放たれ――？ 最高峰の学園バトルエンタメ、ここに開演！
世界観と各種設定の説明を多めにしつつ、キャラクター紹介を兼ねた出会い＆ちょっとした事件。これぞ学園バトルものの１巻といった内容。
その世界観とキャラクターは作り込まれている感はあるが、これといった目新しさは感じない。よく言えば王道、悪く言えばテンプレ。
それよりもめいいっぱいに広げていった風呂敷に目が行く。
シリーズのメインテーマになるであろう《星武祭》（武闘大会）のスケールがデカい。
主人公の学校を含めて六校という多めのライバル校数と、三年で１クールという長いスパン。その上裏での駆け引きも書く気満々のようで、最後までいったら結構な冊数になりそう。加えて主人公の姉の失踪やクローディア（生徒会長）の態度など伏線もいっぱい張っていったので、この風呂敷をきちんと畳むことが出来たら大作になりそうな予感はする。また、主人公が時間限定ながら俺ＴＵＥＥＥ臭がするので個人的にはそこに期待したい。
そんなわけで面白くなるかどうかはこれから次第だが、新人に明らかな準備回で１冊使わせたことといい、絵師といい、帯に「最高峰」の文字を入れたことといい、ＭＦ文庫の力の入れ具合に期待が高まる作品。
