いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ロゥド・オブ・デュラハン」紫藤ケイ(このライトノベルがすごい!文庫)

ロゥド・オブ・デュラハン (このライトノベルがすごい! 文庫)
ロゥド・オブ・デュラハン (このライトノベルがすごい! 文庫)

領姫の不可解な死の真相を追う傭兵アルフォンスは、死体を操る死術師と対峙し窮地に陥ったところを、白銀の髪を持つ女に救われる。彼の者の名はリィゼロット。永き時を生き、死の運命を弄ぶ者たちを狩る、精霊デュラハンの一人。漆黒の鎧を身に纏い、純白の大剣を振るいながら、彼女は不自然に歪められた命を狩りつづける。茫洋としたまなざしに、深い悲しみをたたえながら――。第3回『このライトノベルがすごい!』大賞・大賞受賞、哀切と慟哭のダーク・ファンタジー


暗い&重い、中二、血生臭いと三拍子揃ったダークアクション。
個人的には前の二つが好物で最後が苦手なのでシンクロ率66.7%といったところ。
もう一つの特徴としてちょっと古めかしい印象を受ける。文章のセンスも挿絵も90年代を思わせるテイストで、おっさんにはなんとなく懐かしく、若い人には逆に新しい……かもしれない。
作品のテーマは「生と死」
死が受け入れられずに偽りの生にしがみつく亡者と彼らに蹂躙された死者の想いが生々しく強烈に描かれていて、いたたまれなくなったり遣る瀬無くなったりすることもしばしば。特に後半はメインキャラの一人のリィゼが当事者になると痛々しさが倍増。彼女の過去の吐露から因縁の相手との邂逅まで容赦のない精神攻撃に目を背けたくなるほど。でも、その痛みがあるからこそ一つの救いを得るラストで物語が一気に盛り上がる。
また、死を受け入れられなかった者が使う死術は想いの強さで何でも出来る=なんでもありで、その為アクションがダイナミックで熱い。その分血がよく飛ぶけど(^^;
世界観には重厚感があり、ストレートに感情を揺さぶってくる話で大賞に相応しい作品だった。ダークなものが好きな人にオススメ。