いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「オレを二つ名で呼ばないで!」逢上央士(このライトノベルがすごい!文庫)

オレを二つ名(そのな)で呼ばないで! (このライトノベルがすごい! 文庫)
オレを二つ名(そのな)で呼ばないで! (このライトノベルがすごい! 文庫)

――俺、御手洗新は悩んでいた。今日、学園のシステムに登録すれば、憧れの〈二つ名〉が手に入る。ギリギリまでカッコイイ名前を考えて申請に向かった俺だったが、既に俺の〈二つ名〉は登録されていた!? 屈辱的な二つ名がついてしまった俺は、優勝者の願いをなんでもひとつ叶えるという〈黄金杯〉での優勝を目指すことにした。第3回『このライトノベルがすごい!』大賞・優秀賞の学園異能アクション堂々スタート!


コミカルかつ熱い学園異能バトルもの。テンポのいい会話とクセのない文章。6冊の新人賞作品の中で完成度、読みやすさはこれが一番。
そして、これはよい中二病ですね。
まず、『二つ名システム』というバリバリの中二設定を嫌味なく笑いの方向に持っていった手腕が見事。それでいて異能バトルは限られた能力でどうやって勝っていくかという戦術性に、逆転の多い熱い展開と間違いなく燃えられる。後半、隠し技がポンポン出て来てしまうのが熱いバトルに水を差しているような気もするが、新人賞作品という制約では仕方ないか。
また、名前は残念な『二つ名』ながら汎用性の高い能力を持つ主人公がめっぽう強く、バトル後の爽快感も申し分なし。その時の台詞が無駄にカッコいいのも中二っぽくて良……これは二つ名とのギャップで笑いの方か?w
とにかく笑いと燃えのメリハリが効いていて“ライト”ノベルらしく読んでいて楽しい作品だった。


最後の二つ名はあまりの酷さに笑ったが、彼にはフラグ建築士的なものの方が似合うと思うんだ。続いたら間違いなくハーレムラブコメアクションになるね。