いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「僕は友達が少ない CONNECT」平坂読(MF文庫J)

僕は友達が少ない CONNECT (MF文庫J)
僕は友達が少ない CONNECT (MF文庫J)

三日月夜空は、十年前に離ればなれになった親友との物語を再び始めるために動き出そうとしていた/高山ケイトは、妹の幸せを喜びながらも寂しさを覚えていた/天才少女志熊理科は、その能力ゆえの孤独を抱えていた/孤高の男子高校生柏崎天馬は、自分に付きまとってくる同級生に戸惑っていた/柏崎家の新しい家令ステラは、お嬢様に対して複雑な想いを抱いていた/そして羽瀬川小鷹が主人公になった時、その裏では……。『はがない』待望の最新刊!小鷹以外の人物達によって綴られる、一つの奇跡へと続いていく、煌めく奇跡達の軌跡――“繋がりの物語(CONNECT)”登場!!


小鷹以外の視点から書かれた短編集。
短編集といってもお気楽な箸休め的なものではなく、これまでの本編でターニングポイントになったところの話が多く、その時のそれぞれの気持ちを補完するストーリー上重要な位置付けになるもの。そこに他愛もない日常が切り取られたショートショートが少々。
ブコメ・萌え的な視点で言うと一話目の夜空が断トツ。本編=小鷹視点でも時々小声で見せてくれる素顔で短編丸々一話とか夜空はにとってご褒美以外の何物でもない。これは文句なしでかわいい生き物ですわ。
しかし、その後は各キャラの“残念”の起源が見えてくるシリアスめの話が続く。
おバカで笑える残念系ラブコメにこんなにしっかりした基盤があったとは。数奇な運命という軽い言葉にしてしまうのをはばかられるようなそれぞれの生い立ちに人生のままならなさと、同時に隣人部という小さな幸運を噛みしめられる。
でも、一番の根っこである親たちの過去はステラショックで吹っ飛んじゃったかなw まさか重要人物。しかも夜空に負けず劣らずのかわいい生き物とは。これは出番が増える……ことはもう終盤だからないか。
本編に深みを加える一冊。面白かった。