いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「正義の味方の味方の味方」哀川譲(電撃文庫)

正義の味方の味方の味方 (電撃文庫)
正義の味方の味方の味方 (電撃文庫)

『善悪戦争』により、正義が悪を葬りさった現代。そんなスケールのある世界観とは裏腹に、マンションの一室にこっそりと棲息する秘密結社があった。ゼロウ・ファミリー──総帥一名、怪人一名、つまり弱小である。かわいらしい少女でありながら総帥を務める凛奈。炊事、洗濯が目下の任務となっている怪人、橙也。
そんなささやかなファミリーが今日解体する。その後、学校に通うことになるらしい……正義の味方養成機関、白陽花学園に。なぜに、正義の味方の学校に!? ぼやく橙也であった。こうして、正義の味方を目指す(?)総帥と怪人というおかしなスクールライフが始まるのだが!?


どこかで見た名前だと思って検索したらデビュー作が諸々で絶版の人か。電撃は切らなかったんだ。しかもペンネームも変えなかったのか。勇気あるなー。



さて、内容と関係ない話はこの辺にして肝心の作品は、
初めに来るのは戸惑い。
世界観についてあらすじ以上の説明がほとんどない(あるのは魔法の説明くらい)ので推測するしかないのだが、現代日本風な舞台のようなのにクラスメイトに犬がいたり巨大猫が出てきたりと、どこまでが有りでどこからが無しなのか分からない。説明文ばかりで内容が無くなってしまうのは問題だけど、これは流石にサボり過ぎ。
なんとなく状況を把握する中盤は普通の学園もので、本番は後半。
いやーよく吼えるわ。正論にポリシーに信念、己の正しいと思うことを相手にぶつける熱のこもった言葉の応酬がとにかく熱い。それらの台詞やピンチでの緊張感など見せ場のシーンを盛り上げるのが非常に上手く、事件発生後はあっという間に読み終わってしまった。
読み始めはどうなることかと思ったが、終わり良ければすべて良しということで。